日本メジフィジックスは、超ウラン元素(プルトニウム、アメリシウム、キュリウム)による体内汚染を軽減するペンテト酸剤の「ジトリペンタートカル」と「アエントリペンタート」の承認を7月1日に取得したと発表した。
緊急被ばく医療専門の医療機関などにおける備蓄を目的とする。
静脈内に投与することで、ペンテト酸が血液中を循環中の超ウラン元素とキレート結合することにより、速やかに尿中排泄され、内部被ばく線量が低減する。
同社は放射性セシウムによる体内汚染を軽減する「ラディオガルダーゼ(R)カプセル」を2010年10月27日に承認取得している。
体内に入った放射性セシウムは、その多くが腸管から静脈、肝臓を循環しているが、この物質はそのもの自体は殆ど体内に吸収されず、腸管のセシウムを吸着して、便から排泄する。
同社は、福島第一原発での放射能漏れを受け、ドイツの製造供給元からの緊急輸入を行い、これを政府に無償提供した。
これらは海外において緊急被爆医療における標準的な医薬品として位置づけられており、米国においては戦略的国家備蓄資材(Strategic National Stockpile)に指定されている。
厚生労働省による「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討結果を経て、迅速な承認取得に至った。
いずれも、開発者であり、また諸外国において製造供給実績のあるドイツのHeyl Chemisch Pharmazeutische Fabrikとの提携により、日本メジフィジックスが輸入販売する。
製品名 | ラディオガルダーゼ(R)カプセル500mg | DTPA(ペンテト酸)剤 | |
ジトリペンタートカル静注1000mg | アエントリペンタート静注1055mg | ||
一般名 | ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸鉄(Ⅲ)水和物 | ペンテト酸カルシウム三ナトリウム | ペンテト酸亜鉛三ナトリウム |
効能又は効果 | 放射性セシウムによる体内汚染の軽減
体内に入った放射性セシウムは、その多くが腸管から静脈、肝臓を循環している。 |
超ウラン元素(プルトニウム、アメリシウム、キュリウム)による体内汚染の軽減
静脈内に投与することで、DTPAが血液中を循環中の超ウラン元素とキレート結合することにより、速やかに尿中排泄され内部被ばく線量が低減する。 | |
用法及び用量 | 通常、1回6カプセルを1日3回経口投与 患者の状態、年齢、体重に応じて適宜増減 |
1000mgを1日1回点滴静注、 または緩徐に静脈内投与する |
1055mgを1日1回点滴静注、 または緩徐に静脈内投与する |
開発 | ドイツ Heyl Chemisch Pharmazeutische Fabrik | ||
製造元 |
ドイツ Haupt - Pharma |
ドイツ JENAHEXAL Pharma | |
承認 | 2010/10/27 | 2011/7/1 |
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日本メジフィジックスは放射性医薬品、診断用薬、治療薬、医療機器および関連製品を扱っている。
サイクロトロンを自社所有し、核医学画像診断やポジトロン断層法(PET診断)、放射線療法に用いられる放射性医薬品の研究・開発や製造、販売を行う。
1973年に米Medi-Physics(50%)と住友化学(45%)、住友商事(5%)のJVとして設立された。
RosheによるMedi-Physics買収に伴い、1975年に日本ロシュが株主となったが、1990年にRoshe本社が放射性診断薬事業を英国のAmersham Internationalに売却した。
このため、日本メジフィジックスは住友化学95%、住友商事5%としたが、Amershamからの要請を受け、1994年に20%を譲渡、1996年に住友商事分を含め更に30%を譲渡し、住友化学とAmershamの50/50 JVとした。
2004年4月、GEはAmershamの全発行株式を取得し買収した。GEの医療事業部門をGEメディカルシステムからGE Healthcareと改称した。
これに伴い、日本メジフィジックスは住友化学とGE Healthcareの50/50 JVとなった。
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