日本各社やBASFが高吸水性樹脂の増強を行う中、日本触媒やBASFとトップを争うEvonik(旧 Degussa)も高吸水性樹脂の増強を決めた。MMAについてもドイツ、米国、中国の工場の増強を決めた。
2010/12/22 BASF、高吸水性樹脂を増強
2011/8/4 日本の各社、高吸水性樹脂を増強
Evonikは8月17日、サウジのNational Industrialization
Company (Tasnee) とSahara Petrochemicalsのアクリル酸系製品の統合会社の Saudi Acrylic
Acidとの間で、高吸水性樹脂を製造するJVのSaudi Acrylic Polymersを設立する契約に調印した。
出資比率は明らかにされていない。
(他のJVの例からみると、Evonikの出資比率は25%か?)
Tasnee、Sahara及び両社のポリオレフィン計画については、下記参照。
2006/5/13 サウジの民間ポリオレフィン計画
工場はAl Jubail chemical parkのTasneeの工場に立地し、能力は年産80千トン。2013年下期のスタートアップを目指す。
同地にはTasneeとSaharaの競争力のあるプロピレンと、それを使ったアクリル酸のプラントがあり、新会社は低コストのアクリル酸を使い、高吸水性樹脂を生産する。
これは中東で最初の高吸水性樹脂で、Evonikでは、成長の著しい中東市場への進出の第一歩とするとともに、高吸水性樹脂の世界のリーダーとしての地位を更に高めるとしている。
Tasnee とSaharaのアクリル酸コンプレックスは以下の通り。
製品 | エチレン、プロピレン、PE | 持株会社 | アクリル酸 | 高吸水性樹脂 |
社名 |
Saudi Ethylene and Polyethylene (SEPC) |
Saudi Acrylic Acid | Saudi Acrylic Monomer (SAMCO) |
Saudi Acrylic Polymers |
出資 |
Tasnee & Sahara Olefins 75% LyondellBasell 25% |
Tasnee Sahara |
Saudi Acrylic Acid
75% Rohm & Haas(Dow) 25% |
Saudi Acrylic Acid Evonik |
能力 |
エチレン 1,000千トン プロピレン 285千トン HDPE 400千トン LDPE 400千トン |
アクリル酸 250千トン | 高吸水性樹脂 80千トン | |
原料ソース | SEPCのプロピレン | SAMCOのアクリル酸 |
なお、TasneeとSaharaはSEPC設立以前に、それぞれ、LyondellBasellとの間でPPのJVを設立している。
製品 | プロパン脱水素とPP | プロパン脱水素とPP |
社名 | Saudi Polyolefins | Al-Waha Petrochemical |
出資 |
Tasnee
75% LyondellBasell 25% |
Sahara
75% LyondellBasell 25% |
能力 |
プロピレン 450千トン PP 485千トン 現在 720千トン |
プロピレン 467千トン PP 450千トン |
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Evonik は8月25日、需要増大に対応するため、MMAモノマーの増強を行うと発表した。
2011年と12年に、ドイツWormsとWesseling、米国ルイジアナ州 Fortier及び上海工場のデボトルネッキング等により、合計約50千トンの能力増を行う。
EvonikのMMA事業の元はドイツのRoehmで、(更にその元はRohm & Haas で、第一次世界大戦の敗戦で米国子会社が分離独立した)1989年にHulsに買収された。
Hulsは1899年にDegussaと合併してDegussa-Hulsとなり、その後、Degussaに、更にEvonikに改称した。
米国のCyroは、当初はRoehmの米国再進出のため、CytexとのJVとして設立されたが、現在は100%子会社となっている。
2009年11月、上海ケミカルパークの同社のMMAコンプレックスが商業生産を開始した。
イソブチレン 105千トン
MMA 115千トン
メタクリル酸 15千トン
ブチルメタクリレート 20千トン
PMMA 40千トン
Degussa の欧・米のMMAはともにACH法であるが、今回の上海のMMA計画遂行に当たり、同社は日本メーカー(名前を明らかにせず)から直酸法の技術を導入した。
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