"Japan Held Nuclear Data, Leaving Evacuees in Peril"ーーー8月8日のNew York Times はこのタイトルの長文の記事を掲載した。
http://www.nytimes.com/2011/08/09/world/asia/09japan.html
福島第一原発の事故の際、浪江町民は政府の指示のないまま、冬なので北風が吹くと考え、北西部の津島に避難した。
実際には風は直接、津島に向かって吹いた。3月12日から15日まで、町民は最も放射能のレベルの高いところに居た。
町民は2か月後に放射能の広がりを予測する政府の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information:Speedi)がそれを示していたことを知った。
町長はこの情報隠しは殺人に近いと怒っている。
文科省は当初、このコンピュータ予測はデータが不完全であるとして首相官邸に知らせなかった。
津波で原発にあるセンサーが破壊され、実際にどれだけの放射能が放出されたか分からないため、どこまで拡がるか測定できないというもの。
付記
原子力安全・保安院は9月2日、東日本大震災当日、福島第1原発1~3号機で全電源喪失などを想定し炉心溶融などを予測した「緊急時対策支援システム(ERSS)」の解析結果を公表した。
官邸の窓口に保安院職員を通じて渡したが説明はしておらず、どう活用されたかは不明という。
ERSSを開発した原子力安全基盤機構は3月11日、保安院の依頼でシステムを起動し、同原発で全電源が断たれた事態を想定したパターンを使い、1~3号機の原子炉内の水位や圧力、温度が今後どう推移するかの予測結果を同日午後10時に作成した。
それによると、11日午後10時50分に燃料棒が冷却水から露出すると予測。同11時50分に燃料の被覆管が破損し始め、12日午前0時50分に溶融が始まるとした。同3時20分に原子炉格納容器が設計上の限界圧力に達してベント(排気)が必要になり、放射性物質が外部に出ると予測した。
保安院は1号機の予測から導いた放射性物質の推定放出量を基にSPEEDIで拡散予測を実施した。
この計算結果も3月12日午前6時7分に出たが、保安院は官邸に報告していなかった。
首相官邸は最初はこれがあることを知らず、当初半径3kmを避難地域とし、順次広げた。
官邸は、これの存在を知り、専門家が不完全でもSpeediを使うべきだと進言した後も、この予測が問題とされた場合に、費用がかかる避難地域拡大の責任をとりたくなかったため、これを拒否した。
避難地域の拡大は数十万人を避難させ、住むところを探す必要がある。当初は道路が封鎖され、鉄道も動いていない。
これらを考え、避難を制限した。それにより補償費の支払い拡大も避けた。(官僚のインタビューから)
政府側は、Speedi が当初出したマップは首尾一貫せず、風向きにより日に何度も変わった、役に立たないものを公表しても仕方ないとするが、専門家は、専門家が見ればSpeediは非常に役に立つとしている。
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このコンピュータ予測は、政府が最初に公表しなかった情報の一つである。
福島原発のメルトダウンは何か月も公式に認められないままであった。
津波の翌日にメルトダウンの証拠であるtellurium 132を見付けたが、IAEAの訪問まで、約3か月これを抑えた。
学者グループはこれは極めて遺憾であると非難している。
同時に、被害の全容が分かる圧力容器内部の水の量や温度などを隠しているとみている。
また、冷却システムが破壊されたのが、津波のせいなのか、若しくは地震による破壊が要因なのかのデータを隠しているとしている。もし後者なら他の原発の安全性にも疑問が出てくる。
細野大臣は、当初パニックを起こすことを恐れて、Speediを含め、いくつかのデータを公表しなかったが、政府は考え方を変え、出来るだけ早くデータを公開するようにしていると述べた。
ドイツZDFがこんな衝撃的な番組を放送しております。
日本の食の危機が…。
http://www.youtube.com/watch?v=5n_3NK-tsOU
東京電力&政府の情報隠ぺいが許せません。