ConocoPhillipsと中国海洋石油(CNOOC)が共同で開発している渤海湾の海底油田のPenglai (蓬莱) 19-3で新たな原油流出が見付かり、ConocoPhillipsに対する批判が高まっている。
同油田はConocoPhillipsが権益49%を保有してオペレーターを務めており、残り51%はCNOOCが保有している。
1980年代に日中石油開発 (日本の石油公団と中国のCNOOCのJV)が蓬莱19-3油田エリアを含む25,000km2の鉱区を取得し探鉱を行ったが、当時は2,000m以深が主な対象層とされ、同エリアで商業量の発見はなく、放棄した。
その後CNOOCとConocoPhillipsが浅層を対象に掘削を行った結果、蓬莱油田を発見した。
蓬莱 19-3での最初の原油漏れは本年6月4日に Platform B付近で発見され、6月17日にはPlatform C 付近でも発見された。
しかし、ConocoPhillipsとCNOOCはこの事実を1カ月近く隠し、非難を受けた。
7月10日に新たに油の流出が確認され、監督機関の国家海洋局は7月13日にConocoPhillipsに対し、Platform BとPlatform C(生産量は蓬莱油田の3分の1相当)の稼働停止を命じた。
中国国家海洋局は7月末に油田付近の4.6km2にいくつかの油膜が形成されていると明らかにした。Platform C で原油が毎日流出していることがわかり、 Platform B付近でも油膜が発見された。
7月14日までに集計された原油流出量は1,500バレルで、海水が汚染された面積は4,240km2と推測された。
原油流出によりすでに河北省と遼寧省一帯の海岸には黒い油膜が押し寄せており、該当地域の養殖業が大きな被害を受けている。
ConocoPhillipsは8月7日、蓬莱19-3で、6月の原油流出事故現場から10.8メートル離れた地点に新たな原油流出が発生したと認めた。現場の点検作業員が確認したという。
国家海洋局は8月10日、ConocoPhillipsに対し、クリーンアップの遅れを中国国民に謝罪するよう求めた。汚染地域、量、クリーンアップ済み地域と未処理地域、クリーンアップ方法、漏れ防止策などの報告を求めた。
中国の法律では原油漏れの罰金は最高で20万元(3万ドル強)となっており、これがConocoPhillipsの対応の遅さの理由ではないかと問題視する声が出ている。ConocoPhillipsには中国の海洋環境への社会的責任が欠けているとの批判もある。
付記
中国海洋石油総公司(CNOOC)の王宜林董事長は8月24日、香港で記者会見し、原油流出事故について謝罪した。事故原因の究明は中国政府の調査を待つとしたうえで、賠償問題もその結果に委ねる考えを示した。
ConocoPhillipsは期限として決められた8月31日に、原油流出が止まったと発表した。
しかし、国家海洋局は流出が完全に止まっていないと判断し、9月2日にPenglai (蓬莱) 19-3の生産停止を命じ、ConocoPhillipsはこの命令に従った。
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