インドのPVCメーカー Sanmar Groupのエジプト子会社のTCI Sanmar(旧称 Trust Chemical Industries)はエジプトのSouth Port Said で年産275千トンの苛性ソーダと400千トンのPVCを新増設する。
現在のTCI Sanmarの能力は苛性ソーダ275千トン、塩素 235千トン、VCM 400千トン、PVC 200千トンで、VCMの自消分の残り200千トンはインドの200千トンPVCプラントに送っている。
駐エジプトのインド大使によると、建設費は13億ドルという。
エジプトは1月25日の革命後、多くの企業の投資対象となっており、インドの化学企業も何社かがエジプトの投資を拡大しようとしているという。
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Sanmar Groupはインドで塩ビ・塩ビ管事業と鋳造事業を中心に事業の拡大を図ってきた。
インドの塩ビ事業担当のChemplast Sanmarは、PVC事業を年産6千トンからスタートし、30年かけて65千トンに増やした。
1990年代後半にPVCプラントの新設を検討したが、原料問題で難航していた。当時はアルコールを原料にしていたが、価格の変動が激しかった。
2003年に政府はgasohol 計画を打ち出し、アルコール需要が急増したため、同社は原料のエチレンへの転換を決めた。
アルコール原料のPVCなど聞いたこともなかったが、調べると「PVC - World Markets and Prospects (G. Pritchard)」に以下の記載がある。
Chemplast in India makes VCM from biomass via alcohol instead of ethylene.
その頃、クロルアルカリメーカーのKothari Petrochemicalが経営悪化で事業を売りに出したため、Chemplast Sanmarはこれを買収し、輸入エチレンでEDCの生産を始めた。この時点でPVCの原料の75%を自給していた。
2006年にCuddalore で年産20万トンの購入VCMベースのPVCプラントの建設を開始した。
現在のこのプラントの実能力は17万トンで、これによりインドでの合計能力は235千トンとなり、Relianceに次ぐインド2位のメーカーとなった。
Reliance Industries は1990年12月に Hazira Petrochemical ComplexでBF Goodrich 技術で16万トンプラントを建設、その後、順次増設して、現在の能力は30万トンとなっている。
しかし、購入VCMベースでは採算がよくなく、原料問題が苦痛の種であった。
ここでエジプトでイオン交換膜で苛性ソーダ、塩素、水素を製造するTrust Chemical Industries の売却話が浮上した。
1年前に生産を開始したばかりで、苛性ソーダ能力は20万トンである。
エジプトは製造コストが安く、インドのPVC用の原料製造に最適である。
Sanmar Groupは2007年3月に275百万ドルで同社を買収し、TCI Sanmarと改称するとともに、850百万ドルを投じてVCMとPVCプラントの建設を始めた。
また、買収と同時に、Solvinが2005年12月に停止したドイツLudwigshafenの年産18万トンのPVCプラントと16万トンのVCMプラントを購入し、Port Saidに移設した。
現在のTCI Sanmarの能力は苛性ソーダ275千トン、塩素 235千トン、VCM 400千トン、PVC 200千トンで、VCMの自消分の残り200千トンはインドのCuddalore の200千トンPVCプラントに送っている。
工場がスエズ運河の入り口からわずか3kmの地中海沿いにあり、製品の輸送に最適であることから、TCI SanmarでのPVC増設が検討されていた。
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