ダイムラーは、電気自動車で4つの量産モデルを発表した初の自動車メーカー。
2009年にはマイクロ・コンパクトカー「smart fortwo」の電気自動車の量産を開始している。
ダイムラーとBASFは、電気自動車の普及と日常生活への早期導入のため、幅広い研究開発に取り組んできた。
今回のコンセプトカーは、エネルギー効率、温度管理、軽量設計を特に重視した。
両社の技術力により、将来的に発生するさまざまな課題を解決する未来志向のコンセプトカーで、デザイン、ライフスタイル、テクノロジーを融合させることで、これまでにない包括的な機能性を実現した。
今回の新たなコンセプトカーで、5つの「世界初」を実装することに成功した。
・透明有機太陽電池
・透明有機発光ダイオード(OLED)
・完全プラスチック・ホイール
・新軽量ボディ部品
・赤外反射膜・塗料
特長は以下の通り
1)エネルギー効率化に貢献:ルーフからの明るさとエネルギー
ルーフの六角形の透明なエリアは、史上初の光伝達ルーフとして、エネルギーを生成する役割を担っている。
有機染料をベースとした透明な太陽電池がサンドイッチルーフに埋め込まれている。太陽電池の透明な染料は、光で起動し、散光時や薄暗い状況下でも、マルチメディア機能および車内の温度・湿度管理をサポートする3つの換気システムを稼働するのに必要なエネルギーが生成される。
自動車が陽のあたる場所にある限り、太陽電池によって継続的な換気が可能であり、自動車の冷却状態が維持される。透明な太陽電池の裏側に透明有機発光ダイオード(OLED)を組み合わせることで、ドアを開けた時やボタンを押した時にはOLEDが車内を照らし、スイッチがオフの状態では、外部が透けて見えるようになる。
日中はグラスルーフの効果が得られる一方、夜間には眩しすぎない快適な照明が得られる。
従来型の省エネランプと比べて、消費エネルギーは半分以下となる。
2)多機能・軽量化設計:差別化し、よりよく、スタイリッシュに
量産が可能な初の完全プラスチック・ホイールによって、大幅な軽量化と独自のデザイン性を実現している。
BASFが開発した最新の高機能素材(長繊維強化ポリアミド成形材料 Ultramid®)を活用したホイールにより、現段階でホイール1個あたり3kgの大幅な軽量化を達成した。
高機能複合材料の炭素繊維強化エポキシ樹脂をシャシー、ドアなどの部品にも使用している。
これにより、鋼との比較で50%以上、アルミニウムとの比較では30%の軽量化が実現した。
BASFの樹脂は硬化時間が短いことから、大量生産にも適している。
3)総合的な温度管理
①暖房:体の近くで、効率的に
最新の軽量・自立型のプラスチック製シートシェルがその基盤となっている。
従来型のシート暖房とは異なり、独自の導電コーティングを施した薄型繊維のe-テキスタイルが使用され、背中の中央部と腰のあたりで身体により密着した形で直接的に暖めることにより、快適な暖かさが得られる。ドアに取り付けたアームレストにも使用している。シートフォームでもBASFの素材は、他社の素材と比べて約10~20%の軽量化を実現し、また、一度の動作工程で、クッションの部分ごとに硬さの度合いを変えることが可能。超吸収剤を含むフリース繊維をシートに織り込んだ受動的な温度・湿度管理により、シートの快適性は大幅に向上する。
②温度管理:熱の侵入を防ぐ
断熱材は、自動車用途では初の採用となるBASFの新赤外反射膜で構成されている。
これをフロントガラスやサイドウィンドウに採用することで、車内の温度上昇を防ぐ。
安全ガラスの窓枠の間に無金属のフィルムを取り付けることで、赤外線は効果的に反射される。BASFの高機能発泡体を車体パネルに使用することで、車内の温度・湿度を快適に保つことができる。
③涼しい塗料で、車内も涼しく
赤外線を反射し、極めて傷のつきにくい塗料分野は、広範囲の温度管理システムに対するサポートと、その鮮やかで高品質な質感により、「smart forvision」独自のデザイン性を強調するという2つの機能を同時に発揮する。
ガラスフレークを用いたホワイトの特殊効果コーティングを採用しており、光り輝くメタリック調の外観となっており、重要な副次効果として、太陽からの熱線や光を極めて効果的に反射する。
BASFが誇る特殊な着色顔料により、熱放射を吸収するのではなく確実に反射し、暗色塗料の表面でも、これまでより大幅な冷却状態が維持される。
塗料表面温度は最大20℃、車内温度は最大約4℃下がる。
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なお、LGとGMは8月25日、LGによるChevrolet Volt やOpel Ampera用のバッテリー供給での協力関係を拡大し、電気自動車を共同で開発すると発表した。
2011/8/29 韓国LG、GMと電気自動車の共同開発へ
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