Chevron Phillips Chemical は9月13日、住友化学の子会社のSumika Polymers AmericaとのポリプロピレンのJVのPhillips Sumika Polypropylene Company (PSPC) の工場を永久停止し、JVを解散することで住友化学と合意したと発表した。住友化学も同様の発表を行った。
需要家に迷惑をかけないよう、スムースな移行を行うとしている。
PSPCはテキサス州法によるジェネラル・パートナーシップの形で1992年5月に設立された。
出資比率はChevron Phillips Chemical が60%、Sumika Polymers Americaが40%。
住友化学の当初の合弁相手はPhillips Petroleumであった。
Phillip Petroleum は2000年に、オレフィン、ポリマー、芳香族事業をChevronの同事業と統合し、50/50出資でChevron Phillips Chemical を設立、PSPCのJV相手はChevron Phillips Chemical となった。
なお、Phillips Petroleumの本体は2002年にConocoと合併し、ConocoPhillipsとなっている。
日本の自動車メーカーの米国進出に伴い、日本のPPメーカーは相次いで米国でPPコンパウンド会社を設立した。
宇部興産は1985年、宇部興産 60%、丸紅 40% でATC Incを設立。
(その後、日本でのPP撤退で、持分を三井化学に譲渡)三井化学は1986年6月に当時の三井東圧が65%出資、三井物産30%、東洋インキ5%出資で Color & Composite Technologies, Inc. を設立した。
2002年5月に宇部興産からATC持分を購入し、2003年1月に両社を統合して Advanced Composites, Inc. を設立。
出資は三井化学が62.8%、三井物産が27.0%、丸紅が10.2%となっている。
メキシコにも工場を持つ。三菱化学(当時の三菱油化)は1987年2月にエクソンとの均等出資で Mytex Polymer General Partnership を設立した。シンガポールに子会社を持つ。
2006年5月に三菱化学は、Exxonの持分を買い取り、100%子会社とした。いずれも現地のPPを購入してコンパウンドにしている。
これに対し、住友化学は米国メーカーと組んで自社技術のPPのプラント建設し、これによるコンパウンド製造を考えた。
同社はSolvayの米国子会社(Soltex)やカナダのポリサーと交渉したが、まとまらず、1987年頃からPhillips との交渉を始めた。
Phillips はシンガポールで共同でHDPE事業を行っている相手だが、Houston にHDPE 54万トン、PP 22万トン、Kレジン 12万トンのプラントを持っていた。PPの触媒を住化触媒に切り替えるのを機に、PPを切り離して住友化学とのJVとし、住化法のPPを新設するという案で交渉を進めた。
1992年5月、両社はPhillips Sumika Polypropylene Co. を設立、1994年8月にフィリップスのバルク法3系列計220千トンを引継ぎ、1996年8月に住化気相法技術で1系列120千トンをスタートさせた。
現在の能力は住化気相法を増強し、バルク法1系列と合わせ、合計320千トンとなっている。
最近は事業環境の悪化から厳しい経営が続いていたとされており、下記の事情も勘案し、両社協議で解散を決めたとみられる。
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Chevron Phillips Chemical は間もなくスタートするサウジのJVのSaudi Polymers Companyの製造するPPを米国で販売する。
Saudi Polymers CompanyはChevron Phillips Chemicalとサウジの投資会社 Saudi Industrial Investment Group の子会社National Petrochemical Company (Petrochem)とのJVで、ジュベイルに下記のコンプレックスを建設している。
Chevron Phillipsは当初50%出資だが、最終的には35%となる。
製品 能力 EPC担当 技術 エチレン エタンクラッカー 1,200千トン 日揮 Lummus プロピレン metathesis 200千トン 日揮 Lummus OCT(Olefins Conversion Technology) 1-hexene 100千トン 日揮 Chevron Phillips PE 550千トン 2系列 Daelim PP 400千トン Daelim PS 100千トン 2系列 Daelim
2008/1/25 Chevron Phillips のサウジ石化事業
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なお、コンパウンドについては、住友化学は2007年に、住化55%、東洋インキ45%出資でジョージア州にSumika Polymer Compounds Americaを設立、PSPCからPPの供給を受けてコンパウンドの製造受託を行っている。
Sumika Polymer Compounds Americaは今後も北米地域における製品供給を継続する。
住友化学では、自動車用PPコンパウンドをコア事業と位置づけ、グローバル化が進む自動車業界の需要家からの要望に対応するために、日本、欧米、中国、東南アジアに生産・販売拠点を設置し、製品の供給を行っているとし、この事業戦略は今後も堅持し、北米を含む世界各地域において、需要家のニーズをふまえた製品の安定供給体制を維持、拡大するとしている。