2011年度イグノーベル賞

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9月29日、ハーバード大学で第21回イグノーベル賞の授与式が行われた。

化学賞には滋賀医科大学の今井眞講師が率いる研究チームが行った「わさびの臭いが火災報知器の役割を成す理想的な空気中のわさび濃度」が選ばれた。

受賞したのは、
今井真滋賀医科大講師(臨床実験)、
睡眠障害の研究をしている琵琶湖病院の村上純一医師、
田島幸信・香りマーケティング協会理事長、
香りを扱うベンチャー企業のシームスの漆畑直樹社長、種村秀輝取締役、
臭気発生装置を製作したエア・ウォーター防災の後藤秀晃さんと溝口浩一郎さん

警報装置は、3年前に開発した。

一般の火災警報器は警報音がけたたましく鳴るが、耳の不自由な人やお年寄りの場合、寝ている時に音に気付かない恐れがある。
このため、研究グループでは寝ている人を匂いで起こせるよう、嗅覚に働きかける警報装置を作れないかと考え、ツーンとした匂いがする「わさび」に注目した。

そして、「わさび」から刺激の強い匂いの成分を取り出して缶の中に閉じこめ、火災の発生を感知すると霧状に吹き出す仕組みを考案した。
滋賀医科大学で行われた実験では、耳の不自由な人を含む20代から40代の14人が眠っているところに警報装置を作動させたところ、風邪で鼻が詰まっていた男性を除く13人が、匂いが鼻に達してから2分以内に目を覚ましたという。
なかでも、聴覚障害者の場合は、10秒から30秒後に目を覚まし、その効果が確かめられた。

この警報装置はおととしから販売され、一部のろう学校などで導入されている。

滋賀医科大学の今井眞講師は、授賞式のスピーチで「この研究は実験に参加してくれた聴覚障害者の方々からの宝物です。でも間違っても、寿司やそばには使わないでくださいね」と冗談を交えながら受賞の喜びを語った。
(NHK ニュースから)

本年の各賞の受賞者とその内容は以下のとおり。

生物学賞 Darryl Gwynne(カナダ・オーストラリア・米国)とDavid Rentz(オーストラリア)
「オスのタマムシは豪州ビールの小瓶(stubby) をメスと勘違いする」という論文
"Beetles on the Bottle: Male Buprestids Mistake Stubbies for Females (Coleoptera)"
(Journal of the Australian Entomological Society, vol. 22, 1983)
医学賞 オランダ・ベルギー・オーストラリアの共同研究チーム
トイレに行きたくてたまらない時に下した決断が、ものによって良かったり悪かったりするのはどうしてなのか、原因を追究
心理学賞 Karl Halvor Teigen教授(University of Oslo)
「人間はなぜ日常生活においてため息をつくのか」を研究
 "Is a Sigh 'Just a Sigh'?  Sighs as Emotional Signals and Responses to a Difficult Task"
(Scandinavian Journal of Psychology, vol. 49, no. 1, 2008)
生理学賞 英国・オランダ・ハンガリー・オーストリアの共同研究チーム
アカアシガメ (Red-Footed Tortoise Geochelone carbonaria) のあくびを研究し、「あくびは伝染しない」と結論
物理学賞 フランスとオランダの共同研究チーム
円盤投げの選手は目が回るのに、ハンマー投げの選手は目が回らないのはなぜかを研究
公衆安全賞 John Senders (University of Toronto)
幹線道路を運転中にサンバイザーが下がって視界が何度も狭くなった場合の運転能力について、自ら運転して測定
化学賞 日本の研究チーム
火事の際に寝ている人を起こすことができる「わさびのにおい」の理想的な濃度を研究し、「わさび警報装置」を開発
数学賞 学者6人(うち1人は終末を今年の10月21日と予測)
世界が終わる日を予測・断言し、「数学的仮定を立てる際には気を付けた方がよいと世界に知らしめた」
 Dorothy Martin of the USA (1954年に終わると予測)
 Pat Robertson of the USA (1982年)
 Elizabeth Clare Prophet of the USA (1990年)
 Lee Jang Rim of KOREA (1992年)
 Credonia Mwerinde of UGANDA (1999年)
 Harold Camping of the USA (当初1994年、その後、2011年10月21日)
平和賞 リトアニアの首都VilniusのArturas Zuokas市長。
違法駐車の多さに業を煮やし、自ら装甲車を操縦して高級車を押しつぶすパフォーマンスを行った。
文学賞 John Perry(Stanford University )
「Theory of Structured Procrastination(構造化された先延ばしの理論)」を執筆
常に重要な作業をすることによって、それ以上に重要な作業をせずに済ませるテクニック

 

日本人はこれまで、2005年までに11件、2007-2010年に1件ずつ計4件、合計15件の研究でイグ・ノーベル賞を受賞している。

2006/10/13 ノーベル賞とイグ・ノーベル賞
2007/10/8  2007年イグ・ノーベル賞
2008/10/4  2008年イグ・ノーベル賞
2009/10/3 
2009年イグ・ノーベル賞
2010/10/7  2010年ノーベル化学賞とイグ・ノーベル賞

日本人の受賞はこれで16件となる。

 

  

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コメント(3)

化学賞受賞 おめでとうございます。

今年の授賞式を楽しみにお待ちしておりました。

わさびを使用しての装置はすでにテレビで聞いておりましたが、化学賞とは
嬉しいです。聴覚の不自由な方のために、単なる面白さを狙うだけでなく、
不自由な方々の身になって、お役に立つ研究はよろこばしく、ほのぼの版
ですね。心からお祝い申し上げます。

その イグノーベル賞を真似て、私たちは2匹目のどじょうを狙い、
CSNP=Cosmopolitan Sophomore Nobel Prize
第6回 国際2匹目のどじょう賞 を
次のとおり開催します。みなさま遊び心で見にいらしてください。

賞は:哲学、工学、医学、文学、環境、平和、芸術、の7部門と
その他こんな物あったらいいな案 でもOK。
受賞スピーチは:各人2分間厳守。それ以上話していますと、会場から一斉に
紙ヒコーキが飛ばされます。それでも話したい方は、現金千円を飛ばして話し
現金は集めて後で盲導犬育成に寄付します。(笑)と歓声につつまれ、拍手!!!

その後、交流サロン・・・名刺交換、歓談、質疑応答などお楽しみください。

会場:学士会館{東京神田錦町・東京大学発祥地}
日時:2011 11月 6日 {日曜日}
交流会費:¥6000 {前納書留¥5000}
送り先:〒730-0016 広島市中区幟町 8-21-204
直通:080-3055-5904 ルスデン:082-222-1513

日本の研究チームの皆様
おめでとうごさいます。
ノーベル賞も貴重な賞と思いますが、われわれ、一般人においては、このイグ・ノーベルの賞が親しみやすく、有意義であると感じます。

人間の生き方には、ユーモア、笑いのある生活が、必要不可欠であるとある病理学者は説いておられます。
笑いが、もたらすことによって、脳波には、アルファー波が生じ、病気に対する抵抗力の増進に、つながるそうです。

今後、世界に、第二、第三と各地にのイグノーベルの精神の波及が広がることを、期待
します。

2011年11月6日、日曜日、東京、神田錦町の学士会館で、
日本版イグ・ノーベル賞の祭典が、開催されました。

本場、ハーバード大学で受賞された日本人の方の参加が、あれば、
より、盛り上がった祭典となったであろうと、おもいます。

来年も、東京で開催予定ですので、日本人で受賞された方は、
是非、応援方々、ご参加をしてください。

今年の、国際二匹目のどじょう賞(日本版イグ・ノーベル賞)の
受賞された賞の一部を紹介します。
   科学賞: ニホンミツバチの分蜂 日下 一雄 氏
  世界的に、蜜蜂が少なくなる現象に歯止めをかける事が、
  可能となる、装置の開発

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