BPは10月17日、Deepwater Horizon 事故に関し、MC252鉱区の25%の持分を持つAnadarko Petroleum Companyとの間で、全ての問題を解決することで合意に達したと発表した。
両社間の争いを解決することが両社にとり最善と判断したもので、この合意は事故の責任を認めるものではないとしている。
和解の条件は以下の通り。
AnadarkoはBPに対し現金で40億ドルを支払う。これはBPが損害賠償のために設定した200億ドルの基金に充てられる。
AnadarkoはMC252鉱区の25%の権利をBPに引き渡す。AnadarkoはBPに対する「重大な過失」の非難を取り下げる。
将来、第三者からの支払いや保険収入での回収が15億ドルを超える場合、Anadarkoは超えた分の12.5%(上限10億ドル)の権利を有する。
両社は互いに対する訴訟を取り下げる。
BPはAnadarkoへの第三者の請求の大部分はBPが全額補償する。
水質浄化法に基づく米当局からの制裁金や州の環境法に基づく制裁金など(civil, criminal or administrative fines and penalties, claims for punitive damages, and certain other claims) は和解の対象外。
もう1社の株主の三井石油開発とは2011年5月に同様の和解をしている。
2011/5/20 BPと三井石油開発、メキシコ湾原油流出事故損失負担で和解
BPはまた2011年6月に、掘削機器の部品のfloat collarを供給したWeatherford U.S., L.P. とも和解した。
WeatherfordはBPに75百万ドルを支払う。
両社は互いに対する訴訟を取り下げる。
BPはWeatherfordへの第三者の請求(制裁金などは除く)はBPが全額補償する。
事故に関するPresidential Commission やMarine Board of Investigationの調査では、BPのほか、事故を起こしたリグの所有者で掘削作業を担当したTransocean やセメント作業(井戸内、または井戸と鉄管との間のセメント作業)を担当したHalliburton などの行動が事故の原因としており、BPではこれらの会社に対しても話し合いを行っている。
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Anadarkoは40億ドルの支払いのため、ブラジルの海上油田の権利(30億~40億ドルと見込まれる)を売却する考え。
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付記
米内務省安全環境執行局は10月26日、BPに対してメキシコ湾深海での新たな油田の掘削認可を与えたと発表した。
ルイジアナ州沖約400kmにあるカスキダ鉱区の水深約1800mの地点で掘削を行う。
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