最高裁は9月30日、カネカ及び三菱レイヨンが上告していたMBSカルテルに関する公取委の審決取り消し請求について上告を棄却した。東京高裁の判決が確定した。
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2003年2月、欧州委員会の要請に基づき、米国司法省、カナダ競争局、日本の公正取引委員会はモディファイヤー(塩ビ樹脂強化剤=MBS)の販売を巡る国際カルテルに関する同時調査に着手した。
9カ国の14社以上のメーカーに調査が入った。Akzo Nobel、Rohm & Haas などのほか、日本では三菱レイヨン、呉羽化学(現クレハ)、鐘淵化学(現 カネカ)に調査が入った。
クレハは同事業からの撤退を決定し、2003年1月1日にこの事業を提携先のRohm & Haas に譲渡している。
米国においては、2006年4月に容疑なしとして不起訴となり終了した。
欧州委員会による調査も2007年1月に終了した。
しかし、米国のMBSの購入者から、価格維持等の米国独占禁止法に違反する行為により損害を被ったとの主張で、3社の子会社に対してそれぞれ損害賠償請求訴訟(民事集団訴訟)が提起された。
・クレハは2005年11月、原告団に対して500万ドルの和解金を支払うとの内容で、原告団と和解した。
・カネカは2007年4月、原告に対して590万ドルの和解金を支払うとの内容で、原告と和解合意した。
・三菱レイヨンは2008年1月に原告に対して500万ドルの和解金を支払い、和解することで合意した。
2008/1/29 MBS価格カルテル問題
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日本では公取委は2003年12月11日、三菱レイヨンと鐘淵化学に対し、排除勧告を行なった。
呉羽化学に対しては、公取委は2005年7月、2億6,849万円の課徴金納付命令を出した。(呉羽化学は既に事業を譲渡しているため、排除勧告は不要)
これらは審判に付されたが、公取委は2009年11月9日、両案件について審判審決を行い、三菱レイヨンとカネカに対しては排除命令、クレハに対しては2億6,849万円の課徴金納付命令を認めた。
クレハはこれを受諾した。
三菱レイヨンとカネカは、「審決内容には実質的な証拠に基づかない部分が多々ある」と判断し、東京高裁に審決取消訴訟を提起した。
東京高裁は2010年12月10日、この請求を棄却した。
1999年と2000年の合意が成立したことが認められ、クレハを含む3社の共同行為で、競争の実質的制限がもたらされていたことは明らかで、クレハ離脱後も、同様の行為が再び行われるおそれがあると認めざるを得ないから、排除措置を命じる必要があるとした。
これに対し両社は最高裁に上告したが、最高裁は今般、上告事由に該当しないとしてこれを棄却し、東京高裁の判決が確定した。
なお、公取委は2010年6月に三菱レイヨンとカネカに課徴金納付命令書の送達をした。
カネカ 6億 458万円
三菱レイヨン 5億4361万円
合 計 11億4819万円
これに対し両社は審判を請求し、公取委は2010年8月27日、審判開始決定を行った。
この審判は現在もまだ続いているが(次回は11月17日)、最高裁の上告棄却を受け、両社が審判請求を取り消す可能性はある。
(カネカは最高裁の上告棄却について、「当社の主張が認められず残念ですが、司法判断によるものであり、今後は審決の内容に従って対応します」としている。)
付記
2012年5月30日、上記課徴金に関する審決が出た。
カネカ 6億 458万円
三菱レイヨン 5億4361万円
ポリプロピレンのカルテルが、2000年5月の立ち入り検査の後、2010年12月にようやく決着したが、本件も長期にわたっている。
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