「未来技術遺産」

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三菱樹脂は9月28日、長浜工場で半世紀以上にわたり活躍してきた硬質塩ビ板製造用プレス機「3×6-1プレス機」が、日本の科学技術の発展を示す貴重な技術史資料として国立科学博物館の「未来技術遺産」に登録されたと発表した。

今回登録された「3×6-1プレス機」は、3尺×6尺(900ミリ×1800ミリ)サイズの硬質塩ビ板が製造できる国内初の大型機械で、1954年に導入した。製造元は小松製作所。

それまでの硬質塩化ビニル板は、大サイズの需要もなく、製造技術もなかった。
同社では用途の拡大に対応して、本プレス機を導入、様々な板の標準サイズに対応できる本格的な工業用途向けの硬質塩化ビニル板生産技術を確立した。

 

「未来技術遺産」は、国立科学博物館が2008年、わが国科学技術の発展を示す貴重な資料の保存と活用を図り、科学技術の急速な発展の中で、技術を培ってきた先人たちの経験を次世代に継承していこうということで制定した登録制度。

これまでに登録された「未来技術遺産」は下記参照。
   http://www.kahaku.go.jp/institution/sts/material/index.html

 

化学関連のものは以下の通り。

年度 登録番号 名称                                   所在地 製作年 詳細
2008 00009号 国産初期の硬質塩化ビニル管サンプル アロン化成
名古屋工場
1951 PDF
2009 00026号 池田菊苗博士抽出の第一号具留多味酸
― 日本最古のグルタミン酸 ―
東大大学院 1908 PDF
00029号 【 アンモニア合成装置 】 輸入機器
(1) アンモニア合成塔
(2) 混合ガス圧縮機
(3) 清浄塔
― わが国初の本格的なアンモニア合成プラント ―
旭化成
(延岡市)
1923 PDF
00039号 界面活性剤製造設備(TO リアクター)
― 世界で初めてα オレフィン・スルフォン酸塩の工業化に成功 ―
ライオン
大阪工場
1976 PDF
2010 00051号 合成ガス循環機
― 日本初の国産アンモニア合成装置 ―
昭和電工
川崎事業所
1930 PDF
00056号 ビニロン(ポリビニルアルコール繊維)
― 国産初の合成繊維 ―
クラレ
岡山事業所
1950 PDF
00057号 塩化ビニル被覆電線・ケーブル見本
― 現存最古級の塩化ビニル被覆電線 ―
古河電工
(市原市)
1950~
1955頃
PDF
00072号 上中啓三 アドレナリン実験ノート
― 高峰譲吉によるアドレナリン発見を決定づけた実験ノート ―
教行寺
(西宮市)
1900 PDF
2011 00080号 硬質塩化ビニル板製造用プレス機
― 日本最古の硬質塩ビ板成形プレス ―
三菱樹脂
長浜工場
1954 PDF
00082号 "テトロン"糸生産第一号機
― 日本初のポリエステル繊維製造装置 ―
東レ
(三島市)
1958 PDF

 

別途、日本化学会は、化学と化学技術に関する貴重な歴史資料の保存と利用を推進するため、化学遺産委員会を設置し、さまざまな活動を行っているが、2010年から「化学遺産認定」を行っている。

2010/3/18 化学遺産認定  
2011/3/17
化学遺産、第二回認定

下記の3つが両方に認定されている。

 化学遺産 第2号 上中啓三 アドレナリン実験ノート(未来技術遺産 00072号) 
                第3号 具留多味酸(グルタミン酸)試料 (
未来技術遺産 00026号)
                第6号 カザレー式アンモニア合成装置および関連資料 (
未来技術遺産 00029号

 

なお、日本化学会では、震災で延期となっていた 2011世界化学年記念として第5回「化学遺産市民公開講座」を下記により開催する。

 日時:
10月27日㈭ 10:30~16:45 
 場所:
学術総合センター2階会議室
 
http://www.chemistry.or.jp/archives/kouza2011.pdf

 

 

 

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