古河電工は9月29日、米国司法省との間で、自動車用ワイヤーハーネス係るカルテルに関して以下の内容の司法取引に合意した。司法省も発表を行った。(DOJ 発表)
1.今後の刑事裁判手続きにおいて、起訴事実を認め罰金200 百万米ドルを支払う。
2.社員3名が有罪を認め、禁固刑に服する。
F氏 1年と1日
N氏 15か月
U氏 18か月
司法省では、同社は2000年1月以降、他のカルテルメンバーと共謀し、ワイヤーハーネスの価格を操作してきたとしている。
FBIは2010年にデンソー、矢崎総業、東海理化にも立ち入り検査をしており、今回は触れていないが、今後、決定がなされる。
ーーー
電線業界は各種の電線でのカルテルが摘発されている。公取委は2010年5月、特別高圧電線や光ファイバーケーブルのカルテルで課徴金納付命令を出した。
2010/5/26 光ファイバーケーブルのカルテルで過去最高の課徴金
公取委は2010年11月、建設・電販向け電線カルテルで5社に対し排除措置命令及び課徴金納付命令を出した。
2010/11/30 公取委、建設・電販向け電線カルテルで排除措置命令及び課徴金納付命令
公取委は2011年7月、VVFケーブル(主に建物内のブレーカーからコンセント等までの屋内配線として使用)の製造業者及び販売業者に対し、排除措置命令及び課徴金納付命令を出した。
同上 付記
車の配線に使うワイヤハーネスについても、公取委は2010年2月に住友電気工業、古河電気工業、矢崎総業などに立入り調査を行い、調査を進めた。
これについては、日本の公取委に加え、自国の市場にも悪影響を与えた疑いがあると判断して、米、英、豪、カナダ、欧州委員会の5つの海外当局が調査に着手した。
公取委は2011年6月、矢崎総業、住友電工、フジクラの3社に総額約130億円の課徴金納付命令、矢崎とフジクラに排除命令を下す方針を決め、事前通知している。ワイヤハーネスで世界シェアトップの矢崎総業の課徴金は90億円を超えるとされている。
古河電工は立ち入り検査を受けたが、減免制度を利用したとみられ、課徴金納付と排除命令を免除された。
古河電工では、日本では公取委に協力し、減免制度を利用して課徴金と排除命令を免除されたが、米国司法省が実施してきた調査にも全面的に協力した。
適用法令、事実関係等を総合的に勘案した結果、米国司法省との間で司法取引契約を締結することとした。
古河電工では、これに伴い、本年の第2四半期決算で 15,296百万円を特別損失として計上、関係役員の役員報酬を返上する。
最初はダイセル社員(防カビ剤のソルビン酸価格カルテル)
日本在住であったが、今後一切、海外に行けないのでは仕事にならないため、自ら渡米し、3ヶ月の禁固刑に服した。
2006/2/16 独禁法改正
もう一人はブリヂストン社員(マリンホース国際カルテル)
現場で逮捕された。有罪を認め、2年の禁固刑と8万ドルの罰金を課せられた。
2008/12/12 マリンホース国際カルテル事件で日本人に有罪判決
今回は、(司法取引時に3人が米国にいたかどうか不明だが)引き渡しが司法取引の条件となったものと思われる。
ーーー
米司法省は9月30日、日立製作所と韓国LG電子の合弁会社の日立LGデータストレージが、米国向けの光ディスク装置を巡る不当な価格操作による反トラスト法違反を認め、米当局に2110万ドルの罰金を支払うことで合意したと発表した。
http://www.justice.gov/opa/pr/2011/September/11-at-1291.html
同省はまた、商船三井ロジスティクスも、航空貨物に絡む価格談合で反トラスト法に違反し、罰金184万ドルを支払うと発表した。
http://www.justice.gov/opa/pr/2011/September/11-at-1295.html
米司法当局筋は米メディアなどに対し「日本狙い撃ち」の意図を否定した。
コメントする