昭和シェル石油は10月1日、サウジの電力公社 (SEC) 及びSaudi Aramcoと共同で同国初となる太陽光発電事業をスタートした。
サウジ南西部沖のFarasan島に立地した出力500kwの発電所の運転を開始した。約28,000バレルの軽油に相当する発電量が見込まれる。
2万人の住民向けに電力供給を実証することで、今後の同国内での再生可能エネルギー本格普及への基盤づくりをする。
この太陽光発電所は昭和シェルの100%子会社のソーラーフロンティアが建設を進めてきたもので、経済産業省と昭和シェル石油が協力し、中東における日本の最先端技術の普及を目指した政策の一環として、政府による資金援助を得ている。
ソーラーフロンティアの独自技術で生産するCIS薄膜太陽電池は、銅、インジウム、セレンを使用し、結晶シリコン系よりも高温時の温度係数が優れているため、気温上昇時の変換効率が低下しにくいなど砂漠環境に適した特性を有している。
また砂の付着や埃の蓄積を防ぐよう傾斜を付けたフレーム構造や、日本が誇る生産技術に支えられた高い耐久性も特長となっている。ソーラーフロンティアの世界最大規模の宮崎県の第3工場(年産900MW)は 2011年2月より商業生産を開始している。宮崎第1、第2工場と合わせて、約1GW(1,000MW)のCIS薄膜太陽電池の年産能力の確立を目指している。
2009/5/29 昭和シェル石油、太陽電池事業に 1600億円投資
昭和シェルとSECは本年6月1日、本発電所の完成を間近に控え、運営に関する覚書を締結した。
昭和シェルは15年間、本設備を所有し、その後は資産はSECに移管される。
稼働開始後は、SECが操業とメンテナンスを担当し、ソーラーフロンティアは新設のサウジのAl Khobarの事務所を拠点に技術サポートを継続的に提供する。
サウジ政府は、今後の人口増加と石油資源の枯渇をにらみ、2007年にエネルギー戦略を大転換した。
2010年5月にKing Abdullah City for Atomic and Renewable Energy (KA CARE)の設立を決め、原子力と太陽光発電を今後の中心にすることを決めた。
サウジでは電力需要が今後5年は年平均7~8%前後で伸びる予想で、これへの対応は国家的な命題(Aramco CEO)。
サウジの人口は2500万人(外国人700万人を含む)だが、若年層が急増し、2050年には7000万人になるとみられている。
昭和シェル石油は2009年6月、15%の大株主であるSaudi Aramcoと、サウジ国内において太陽光を活用した小規模分散型発電事業の可能性の調査を開始することに合意した。
太陽光発電のパイロットプラントを建設し小規模独立型電力系統(マイクログリッド)への繋ぎ込みなどの技術検討を行い、この結果を受けて同国内での本格的な事業化へ移行する計画。
なお、AramcoのCEOは、宮崎工場の技術を移転し、2~3年以内に昭和シェルと合弁でサウジで電池の製造事業を実現したいとしている。(2011/10/4 日本経済新聞)
サウジにおけるソーラーフロンティアのCIS薄膜太陽電池の設置事例には次のものがある。
1)アブドラ国王科学技術大学(KAUST)の10キロワット規模の発電設備(2009年運転開始)
2)10メガワット規模のNorth Park Project(2011年末 稼働予定)
ソーラーフロンティアは2010年10月、Saudi Aramcoに対し10メガワットのCIS薄膜太陽電池モジュールを供給することに合意した。
Dhahran市にあるAramcoのオフィス複合施設 North Park Complexへ電力を供給するため、敷地内の駐車場の屋根上にCIS薄膜太陽電池モジュールを設置するもの。
車両4,450台収容の駐車場(16~18ヘクタール)の屋根上に設置され、発電電力は敷地内のオフィスビルで日中に使用される全ての電力量(一般家庭6,000戸分の電力に相当)を賄うことができる。
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