米上下両院は2011年10月12日、韓国及び、コロンビア、パナマとのFTAの実施法案を賛成多数で可決した。
オバマ大統領の署名で法案が成立し、米側の批准手続きが完了する。
韓国側の批准を待ち、来年1月に発効する見通し。
(韓国野党は、追加交渉で利益の均衡が崩れたとして反対している。与党は履行法案の10月中の処理を目指す)
付記
韓国の国会で11月22日午後、過半数を占める与党・ハンナラ党が米国との自由貿易協定(FTA)の批准案を強行で可決した。本会議場では、これを阻止しようとする野党の議員が催涙弾を投げるなど一時大混乱に陥った。
これまでの経緯は以下の通り。
2007年4月2日、韓米自由貿易協定(FTA)締結交渉は妥結した。
しかし、米国内で反対が強く、この協定は批准されなかった。
2007/4/4 米韓FTA妥結
2010年7月の韓国・EUのFTA妥結を受け、米国でもムードが変わった。
争点を話し合うための通産相会議が行われたが、自動車と牛肉問題で合意に達せず、決裂した。
2010/11/12 米韓FTA協議、決裂
その後、相互が妥協し、2010年12月3日、追加交渉が妥結した。
米国は牛肉問題はFTAと別の問題とする韓国の主張を受け入れた。
韓国は自動車で大きな妥協を行った。
米国での韓国製自動車の関税撤廃ペースを遅らせる。
非関税障壁とされた安全基準、燃費基準でも妥協。
2010/12/4 韓米自由貿易協定(FTA)追加交渉が妥結
韓国とEUの自由貿易協定(FTA)は2011年7月1日に発効している。
2010/10/12 韓国とEU、自由貿易協定締結
対米FTAが発効すると、韓国は欧州―東アジア―米国をつなぐ「東アジアのFTAハブ」となる。
韓国は以下の国と地域との間でFTAを締結している。
・欧州:EU、欧州自由貿易連合(EFTA=スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランドで構成)
・アジア:ASEAN10ヵ国、シンガポール、インド(包括的経済連携協定)
・北南米:米国、チリ、ペルー
日本は、EU、EFTA、米国とは締結しておらず、韓国に大きく差を付けられることとなった。
韓国企業は日本企業に対し、ウォン安とあいまって、EUと米国への輸出でより有利な立場に立つ。
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韓国はいずれのケースでも「コメ」は関税撤廃対象から除外している。
しかし、対米ではコメ以外の農産品の解放幅拡大を受け入れ、国内の農業被害には思い切った補償策を用意した。
一方、自動車安全基準では対EUではEU規格を丸のみ、対米でも米国製自動車の非関税障壁を大幅に緩和した。
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