インドシナ半島で7月下旬から続く記録的な大雨により、タイの各地で大規模な洪水が発生している。
タイでは7月中旬から北部(チェンライ県、ナーン県など)、東北部(ノンカイ県、サコンナコン県など)で豪雨による洪水被害が報告された。
その後、度重なる台風などの降雨で川が増水し、堤防の決壊などにより洪水被害が広がった。
10月初めに11のダムが基準貯水量を超え、10月4日には北部のプミポンダムで放水量を増やしたことが下流地域の増水に拍車を掛けた。
10月18日現在で全国で317人の死亡が確認されている。
特にタイ国土を南北に流れるチャオプラヤ川流域の被害が大きい。
首都バンコクに近いアユタヤ県では、世界遺産の寺院や仏像に水が押し寄せ、県内5カ所の工業団地もすべてが浸水した。
タイ政府はバンコク中心部の浸水阻止に懸命だが、潮位が上がる時期とも重なっており、予断を許さない状態が続く。
タイには多くの工業団地があり、多数の日本企業が進出している。
洪水は10月にアユタヤ県を襲った。
10月4日にサハラタナナコン(Saha Rattana Nokhon)工業団地(42社、うち日系35社)、
9日はホンダ、ニコンなどのロジャナ(Rojana)工業団地(218社、うち日系147社)、
13日にはキヤノン、ソニーなどのHi-Tech工業団地(143社、うち日系100社)、
14日夜にはバンパイン(Bangpa-In)工業団地(84社、うち日系30社)、
16日はFatory Land 工業団地に浸水した。
アユタヤの工業団地の浸水で被災した日系企業は合計で約310社に達した。
17日には、首都バンコク北側のパトゥムタニ県にあるナワナコン工業団地(Navanakorn)の一部で浸水が起きた。
18日には敷地の9割が冠水し、2日以内に全体が水没する危険が高まったため、タイ政府は操業停止と従業員の避難を命じた。
タイでは二番目に大きい団地で、入居190社のうち、日系は104社と半分以上を占める。
水がバンコクに近づいたため、タイ政府の洪水対策本部は18日夜、北東部につながる運河の水門を相次いで開いた。
上図のバンコク市防衛計画の通り、バンコク都心部が浸水するのを避けるため、チャオプラヤ川の水を都心部の東と西の運河に流すもの。
これに伴い、知事は北東部の7つの区(住民100万人)に避難準備を求めた。
ホンダの二輪車組み立て工場のあるラカバン(Ladkrabang)工業団地(283社、うち日系49社)も含まれる。工業団地側は浸水の恐れがあるとして各企業に操業停止を要請した。
日系自動車の拠点は次の通りで、現在、浸水したのはアユタヤのRojana団地のホンダだけだが、部品を供給する企業の多くが浸水で操業を停止したため、10月20日以降、日系完成車メーカー8社の全てが操業を停止する。
トヨタ チャチェンサオ県 Gateway City工業団地 同 Bangplee 工業団地 サムットプラカーン県 Samrong (Bangplee の西隣) 日産自動車
ホンダ
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タイのティラチャイ財務相は10月17日、3.5~4%程度と予測された国内総生産(GDP)成長率が1~1.7%押し下げられるとの見通しを表明した。
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