Kohlberg Kravis Roberts(KKR)は11月23日、伊藤忠商事などとともに、米エネルギーグループのSamson Investment Co.を72億ドルで買収すると発表した。
KKR、伊藤忠と米国の投資ファンドのNatural Gas PartnersとCrestview Partnersの4社のグループが同日、私企業としては米国最大の石油開発・生産会社の一つであるSamson Investment を買収する契約を締結した。
KKRが60%、伊藤忠が25%、NGP Energy Capital ManagementとCrestview Partnersが残り15%を出資する。
買収完了後はSamson Resourcesに改称する。
Samsonは1971年設立で、米国で1万以上の油田の権益を所有し、そのうち、4000以上を運営している。
近年は非在来型資源権益を競争力のある価格で取得し、石油と天然ガスのバランスのとれた資産を保有しており、今後はこれらの開発を促進して2021年には日産16億立方フィート(天然ガス換算)への生産拡大を計画している。
主なものは以下のガスシェールと油田。
シェール:Bakken(下図)、Powder River(ワイオミング州北東、モンタナ州南東)、Green River(下図)、
Cana Woodford(下図)、Haynesville/Bossier(下図)
油田:Granite Wash(北テキサス)、Cotton Valley(東テキサス).
伊藤忠も11月24日発表した。
同社ではSamsonの25%株式を10.4億米ドルで買収するとしている。
KKR発表の72億ドルの25%は18億ドルで、差はSamsonの借入金の肩代わりか?
伊藤忠は長期保有を目的とした戦略的投資としており、同時に Samsonが生産する天然ガスの出資比率に応じた引き取り権(LNG換算年間100万トン:ピーク時)を確保し、米国に持つガストレード会社の販売拡大に加え、米国シェールガスの国際競争力に注目し、将来のアジア向けLNG輸出ビジネスも視野に入れた取り組みを行うとしている。
伊藤忠商事は、持分権益数量を現在の3万4千バレル/日から2015年迄に7万バレル/日以上に積上がる計画で、今回の買収を通じてこの目標達成を図る。
同時に、非在来型資源開発事業への参画を強化し、オペレーター機能も備えた本案件を北米における天然ガス事業の中核と位置付け、天然ガス・LNGトレード機能の拡充を目指す。
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伊藤忠は2010年10月、米国のエネルギー・電力・建設関連複合企業 MDU Resources Group Inc.の子会社で石油天然ガス開発会社のFidelity Exploration & Production Company との間で、米国ワイオミング州Niobraraエリア約88,000エーカーの石油ガス鉱区権益の25%を取得し、シェールオイル開発事業に参画する契約を締結している。
2010/10/19 伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う
北米のシェールガス開発では、日本の各社が開発に参加している。各社のシェール開発状況
国際石油開発帝石(INPEX)は11月29日、日揮と共同でカナダの石油・天然ガス開発会社NexenがカナダのBritish Columbia州北東部のHorn River、CordovaおよびLiardの各地域に保有するシェールガス鉱区に40%の権益を取得することで合意したと発表した。
(40%を取得するINPEX Gas British Columbia にはINPEXが82%、日揮のカナダ子会社が18%を出資する)
このうち、Horn River地域の鉱区では、既に原油換算で日量約 8千バレルの生産を開始している。
今後、Horn River、Cordova両地域の鉱区で本格的な開発作業を進め、両鉱区合計で原油換算で日量約 200千バレル)規模の生産を目指し、Liard地域の鉱区についても、シェールガス開発生産に向けて作業を進める。
Nexenは元Canadian Oxydentalで、石油・天然ガス(北海、西アフリカ、メキシコ湾など)、オイルサンド(カナダのアルバータ州のAthabasca oil sands開発及びThe Syncrude Project への参加)とこのシェールガスを主たる事業としている。
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