前回、米国の住宅着工の状況について述べた。
2011/10/24 最近の米国の住宅着工状況
国土交通省は10月31日、9月の新設住宅着工件数を発表した。
6~8月に3か月続けて前年を上回り、回復の兆しかと思われたが、9月の新設着工戸数は64,206戸で、前年同月より10.8%の減となった。
日本の住宅着工は、2005年に発覚した構造計算書偽装問題(姉歯事件、耐震偽装)を受けた改正建築基準法が2007年6月20日に施行され、激減した。(2007/10/1 日米住宅着工件数減少)
2008年7月になって、ようやく、前年を上回った。しかし、2008年12月には再び前年比ダウンとなり、その後低迷している。
この影響を最も受けているのがPVCで、PVCの国内需要は低迷している。
6~8月の住宅着工には、次の2つの駆け込み需要が含まれており、9月の減はその反動である。
1)住宅エコポイント
省エネ性能を満たした住宅の新築・改修時に、1戸あたり最大30万円がつく住宅エコポイントが今年7月末の着工分で締め切られた。
2)住宅ローン「フラット35」の1%の金利優遇措置
フラット35は最長35年の中期固定金利の住宅ローンで、住宅金融支援機構が民間金融機関から住宅ローン債権を買い取り、証券化して機関投資家に売却して資金を調達する。
政府は「省エネ」、「耐震」、「バリアフリー」、「耐久性・可変性」のいずれかに優れた住宅向けの「フラット35S]で当初10年間の金利を通常より1%引き下げた。(それまでが0.3%の優遇)
利用者は年1%台前半と、民間の3%前後より割安な金利で借りられる。
三菱総研は、政府の金利優遇によって、2010年の住宅着工戸数を10万~13万戸押し上げたと試算している。
2009年度の着工件数は775千戸、2010年度は819千戸となっている。
国土交通省は、利用が予想以上に多く、予算枠の上限に近づいたため、当初2011年12月末としていた1%の金利優遇措置の申請期限を9月末に前倒しし、 その後は、本来の金利引き下げ幅0.3%に戻った。(2012年3月末には0.3%の優遇もなくなる。→下記)
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政府が10月21日にまとめた今年度第3次補正予算案で、住宅エコポイントとフラット35Sの金利優遇措置の復活が織り込まれた。
省エネ住宅を新築する場合、被災地は従来と同じ1戸当たり最大30万円相当、その他の地域は半減して15万円相当を付与する。
省エネや耐震化のリフォームは地域を問わず、最大30万円相当とする。
獲得ポイントの半分は、被災地の物産品や義援金などに利用を限定する。
金利優遇措置については対象を限定し、金利優遇幅を下げて復活させる。
対象:「省エネ」のみ (他は通常の下げ幅0.3%)
金利優遇:当初5年間 0.7%(東日本大震災被災地は1.0%)
6~10年目 0.3%
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