中国国家発展改革委員会(NDRC)は11月14日、独禁法違反で製薬会社2社に合計で約110万ドルの罰金を科したと発表した。
摘発されたのは、山東省の濰坊順通医薬有限公司と濰坊華新医薬貿易有限公司の2社。
NDRCによると、両社は6月9日に、高血圧治療薬の原料の塩酸プロメタジンのメーカー2社とエージェント契約を締結した。
契約では原料メーカーに両社の了承なしに第三者に原料を販売することを禁止している。中国には他にこれのメーカーはない。
この契約締結後に、両社は原料の価格を200人民元から1,350人民元に大幅値上げした。
多くの高血圧治療薬メーカーは、原料価格の大幅アップを受け、生産を止めざるを得なくなった。
そして原料独占の結果、この治療薬は需給がタイトとなった。
NDRCは両社に対し、違法行為を止め、原料メーカーとの契約を解消することを命じた。
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中国の反壟断法(独占禁止法)は2008年8月1日に施行された。
2008/8/4 中国、独占禁止法施行
執行機関は中国国家発展改革委員会、商務部、工商行政管理総局の3つとなっている。
発展改革委員会:価格独占行為の調査・処分を担当
商務部:事業者結合行為に対する独占禁止審査
参考 2011/10/21 中国の企業統合に関する独禁法施行状況工商総局:独占協定、市場支配的地位の濫用、行政権力を濫用した競争の排除・制限に対する執行
(価格独占を除く)
反壟断委員会(公正取引委員会に相当)は2008年8月1日の施行日当日になって、ようやく設立が発表された。
委員会は国務院直属の組織で、業務は、独占禁止政策の調査、市場動向のモニター、執行機関間の政策の調整となっている。
10月12日の公取委競争政策研究センターセミナーで時建中・中国政法大学教授は以下の通り述べた。
執行を3機関が行うのは妥協の産物である。
実際には事業結合も独占も値上げの弊害が問題となるため、分けるのは不合理。
3機関に分かれるため、それぞれの人員も少ない。
早く反壟断委員会の執行に切り替えるべきだ。
なお、独禁法の前に、中国には価格カルテルを禁止するPrice Law of China が制定されている。
その第4条は次の通り規定している。
事業者は合意、決議、調整その他不正な方法で価格を決めたり、維持したり、修正したりしてはならない。その第14条は以下のような異常な価格設定を禁止している。
・他と共謀して価格コントロールを行い、他の事業者や消費者の利益を損なうこと
・価格を過度に上げるために、値上げ情報をでっち上げたり、広めること
・法や規則に反して暴利をあげること
・その他2011/5/10 中国、値上げ計画の情報流布でUnileverに罰金
実際には、独禁法施行までは、業界で価格を決め、更にそれを発表する慣行があったという。
NDRCは2007年に、中国ラーメン麺協会の価格カルテルを有罪とした。
ラーメン麺協会は原料の油や小麦の値上がりを受け、2006年から2007年の6ヶ月間に3回の会議を行い、統一した値上げを決めた。
協会はその業界誌に会議の議事録を掲載、値上げのニュースが消費者にパニックを起こし、ラーメン麺の大量買い占めが起こったという。
独禁法施行後は、発表はなくなったが、業界での価格決定は行われている模様。
なお、中国の独禁法でもLeniency制度があるが、第一通報者は100%、第二は50%以上、第三は50%以下の減免を与えることが出来るという規定だけで、具体的な細則はなく、実際に減免が与えられるかどうか不明なため、実効はない模様。
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