中国、宇部興産の商標権侵害で米社子会社に行政処罰

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宇部興産は11月24日、中国の蘇州工業園区の工商行政管理局がNovolyte Technologies (Suzhou) に対し、宇部興産の 商標権の侵害行為の停止を命じ、罰金を科すという内容の行政処罰決定を行ったと発表した。

宇部興産はリチウムイオン電池用電解液で世界トップレベルのシェアを持ち、中国内でも広く「PURELYTE」の商標で拡販中だが、Novolyte は自社の電解液に「PUROLYTE」の商標を使用している。

宇部興産によると、本年夏に工商行政管理局から、Novolyteが「PUROLYTE」の商標を使用しているが、宇部興産の知的財産権の侵害にならないかとの問い合わせがあった。
宇部興産ではこの事態を知らなかったが、「E」が「O」となっているだけで、わずか1字しか違わず、明らかに商標権侵害と断定できたため、直ちに当局に対し侵害行為の停止を求める手続きを行なった。

当局側はこれに基づき、侵害行為の停止を命じ、罰金を科すとの行政処罰を決定した。

罰金額は
不明だが、宇部に対する損害賠償ではなく、当局に入るという。侵害に対する損害賠償には司法処理が必要。

中国では商標権侵害が広く行われているが、被害者からの要請に基づくのではなく、当局側が調べて当事者に連絡し、摘発するというのは日本でも考え難く、珍しい。罰金稼ぎかとも邪推される。

Novolyte Technologies (Suzhou) は、米国のArsenal Capital Management LPの子会社でリチウムイオン電池用電解液と高機能溶剤のメーカーのNovolyte Technologiesの中国子会社。

Novolyteは2008年10月に、コンパウンドメーカーのFerro Corporation からファインケミカル事業(電解液、溶剤、ホスフィンなど)を買収した。Baton Rougeに電解液の工場を持つ。
蘇州の中国子会社もFerroが設立したもので、「PUROLYTE」の商標は米国、中国ともにFerroが取得している。

このため、本件は模倣ではなく、たまたま両社が似た商標を取っていたもの。

なお、中国での商標登録申請は宇部の方が早く、宇部にとって有利だが、米国での申請はFerroの方が早い。

    中国での申請   米国での申請
宇部興産のPurelyte   2000-9-26     2006年
FerroのPurolyte   2004-2-1    2002年

このため、宇部が米国に輸出する場合には逆にやられる可能性もある。       

 

 

 

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