電気化学、Sinochemにアセチレン製造技術を供与

| コメント(0) | トラックバック(0)

電気化学は11月8日、Sinochemに対し乾式アセチレン発生技術を供与したと発表した。
Sinochemは、この契約に基づき、平煤神馬集団に同技術のサブライセンスを行った。
他に中国の数社より当技術の引合いがあり、順次対応する予定。

Sinochem はエネルギー、農業資材、化学品、ファイナンス、不動産をコア事業として展開する国営企業。

平煤神馬集団は、河南省、湖北省、江蘇省、上海、陜西省をはじめ、中国全土で事業展開している大型国有企業グループで、主要事業は石炭、ナイロン66、塩ビ、苛性ソーダなど。

中国石炭工業協会が2010年11月に発表した「中国石炭企業ベスト100」ランキングでは、
 第1位は神華集団
 第2位は河南煤業化工集団
 第3位は平煤神馬エネルギー源化工集団となっている。

乾式アセチレン発生設備は、粉砕したカーバイドと必要最小量の水を反応させてアセチレンガス発生させ、副生する消石灰を数%の水分を含む乾燥状態で排出することを特色とした設備。

  カーバイド法アセチレン

石灰石を焼いて生石灰に還元。CaCO3→CaO+CO2
生石灰とコークスの混合物をカーバイド炉に投入し、電極放電で得られる2,000度C以上の高温下でカーバイドを製造。 CaO+3C→CaC2+CO
カーバイドからアセチレンと水酸化カルシウム(消石灰)を製造。 CaC2+2HO→C2H+Ca(OH)2

中国ではアセチレン法塩ビ生産の拡大で、カーバイドの生産量も増加している。

しかし、中国のカーバイドメーカーは年産5万トンに満たない企業が殆どで、その多くが非効率な小規模設備で生産しており、環境問題や電力不足の要因となっている。

中国政府は2004年以降、過剰能力、廃棄物対策、公害防止などの理由で、小規模設備の規制を続けてきた。

2006年5月、カルシウム・カーバイド工場について、年1万トン以下の炉、開放型の炉、環境基準に満たない炉は停止。
2010年8月、4万トン以下の多数の老朽カーバイド工場に停止命令が出された。

アセチレン法PVCについては、2004年5月に年産8万トン以下の新設を禁止、2005年12月にはこれを12万トン以下に変更した。

2008年11月に行われた第3回日中省エネルギー・環境総合フォーラムで、中国カーバイド工業協会から日本カーバイド協会に対して、環境・省エネ対策について打合せしたいとの申し入れがあったことがきっかけとなり、その後の工業会等での協議を経て、電気化学の乾式アセチレン発生設備の実績が認められた。

電気化学では、今般の技術供与が、同社が日本のカーバイド化学のパイオニアとして果たすべき社会的責任であると認識しているとしている。

中国ではカーバイド法PVCは70%以上を占めている。

なお、中では、2000-05年の5カ年計画で水銀法電解は廃止され、現在は使われていない。
 

 

 

トラックバック(0)

トラックバックURL: https://blog.knak.jp/knak-mt/mt-tb.cgi/1635

コメントする

月別 アーカイブ