11月13日午後3時24分ごろ、東ソー・南陽事業所(山口県周南市)構内にある第二VCMプラント(年産能力55万トン)で爆発・火災が発生、社員1人が死亡した。
14日午後3時30分に消防が鎮火宣言した。
同工場では13日6時頃、EDCプラント不具合が生じ稼働を停止、点検中だった。
10人が午前6時ごろから、不具合箇所から約100メートルの場所で、塩ビモノマーなどを貯蔵タンクに一時抜き出す移液作業をしていたという。
塩ビモノマーを精製する工程に直径10メートルの空洞ができており、ここで爆発が起きたとみている。
2次災害を防ぐためなどとして、同事業所全体の約8割のプラント稼働を緊急停止した。
付記
東ソーは11月18日、南陽事業所の排水口からの排水に含まれるEDCが排水基準値を超過していることが判明したと発表した。
漏えいしたEDCが冷却用散水とともに流出したと推測される。
同社では冷却用散水を停止し、土嚢を構築してプラント外への流出を防止する。
同社はわが国最大のVCMメーカー。
PVCでは大洋塩ビに属し(ペーストは東ソーとして製造販売)、各工場にVCMを供給するとともに、隣接する徳山積水にも供給するほか、中国や東南アジア子会社向けを含め、大量の輸出を行っている。
能力は以下の通り。(単位:千トン)
VCM PVC
南陽 No.1 250 No.2 550 No.3 400 小計 1,200 四日市 254 合計 1,454
大洋塩ビ
東ソー 68%
三井化学 16%
電気化学 16%電気化学・千葉 90 VCM
京葉モノマーとスワップ
(パイプ)東ソー・四日市 310 東ソー四日市からパイプ 三井化学・大阪 158 南陽からタンカー輸送 小計 558 東ソー
(ペースト塩ビ)南陽 28 パイプ 徳山積水工業
積水化学 70%
東ソー 30%南陽 114 東ソー南陽からパイプ 合計 700
事故を起こした第二VCMは、山口県などから停止命令を受けた。
残る2基も法定の定期修理などで現在は停止しており、国内PVCの減産は必至で、海外のPVC子会社も原料調達で対応を迫られる。
宇田川社長は記者会見で、「損失額はまだ計算できないが、業績の下方修正を行う可能性がある」とした上で、100億円単位の復旧費用がかかる見通しを示した。
東ソーは11月15日に取締役会を開催し、今回の事故による当期の業績が不透明であることから、第2四半期決算発表で3円とした中間配当を無配とし、同じく3円としていた期末配当は未定に修正した。
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付記 11月18日夜 発表
同事業所内の塩ビモノマー設備は現在、1-3号機すべてがなお停止している。
第一塩ビモノマー設備(年産25万トン)は定修のため停止中。
第三塩ビモノマー設備(40万ン)は、火災事故の原因特定が必要なことから自主的に停止している。
同事業所のその他のプラントでは、東ソー・エスジーエムの石英ガラス工場に建屋・設備損傷の被害が生じ、現在運転停止中。
また、二次災害防止のため、以下の製造設備、連結子会社工場が現在自主的に停止している。今後、安全を確認し次第、順次再開する。
【停止中】
・ ポリエチレン(LDPE)
・ クロロプレンゴム(CR)
・ クロロスルフォン化ポリエチレン(GSM)
・ ペースト塩ビ
・ ジルコニア
・ 一酸化炭素
・ アニリン
・ 日本ポリウレタン工業
【稼動中】
・ 電解(最低ロードで稼働中)
・ 動力
・ セメント
・ 重曹
・ 臭素
・ エチルアミン
・ ハイシリカゼオライト
・ 東ソー ・ ファインケム
・ 東ソー ・ エフテック
・ 東ソー有機化学
・ 東ソー ・ シリカ
付記 ペースト塩ビは12月後半に生産開始した。
なお、同社が2012年2月3日に発表した損益予想では、
第二・第三VCMは3月末まで停止
プロセスの異なる第一VCMは3月1日の運転再開
を想定している。
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