新元素 Flerovium(原子番号114) とLivermorium(原子番号116)

| コメント(0) | トラックバック(0)

国際純正及び応用化学連合(IUPAC)は12月1日、本年6月に新元素であることを認めた2つの元素(原子番号114と116)の名前を発表した。意見募集などを経て半年後に正式に決まる。

この2つの元素は10年以上前に、ロシアのドゥブナ合同原子核研究所(Joint Institute for Nuclear Research in Dubna)と米国のLawrence Livermore National Laboratoryがドゥブナでの共同実験で発見した。

両研究所の科学者が、原子番号114をFlerovium(記号Fl)、原子番号116をLivermorium(Lv) と命名した。

Fleroviumはロシアの核物理学者Georgiy N. Flerov (1913-1990)から取った。

ドゥブナ合同原子核研究所の創設者で、その中の研究所はFlerov Laboratory of Nuclear Reactionsと名付けられている。
1989年に FlerovとLawrence Livermore のKen Huletが両研究所の共同研究を始めた。

LivermoriumはLawrence Livermore National Laboratoryの名前 と、研究所所在地のLivermore市(カリフォルニア州)から取った。

なお、原子番号103のLawrencium(Lr)はLawrence Livermore National Laboratoryの創設者のE.O. Lawrenceから名付けられた。

ーーー

これまで認められた最新の元素は原子番号112のCopernicium(Cn)で、1996年にドイツ Darmstadt の重イオン研究所(Centre for Heavy Ion Research、GSI)の加速器で初めて合成された。Sigurd Hofman 教授のチームは、荷電した亜鉛イオンビームを鉛原子に衝突させることで、これを生成した。

同研究所はコペルニクスに因んでCoperniciumと命名した。

2009/8/26 112番目の元素 Copernicium

原子の核は重くなると壊れやすく、放射線を出しながら分裂などにより、より軽い原子核に変わってしまう。
このため天然にはほとんど存在せず、93番元素の
Neptunium(Np)以上の元素は原子核反応によって人工的に合成されている。

今回の二つ以外にも原子番号113、115、117、118の4種が報告されているが、IUPACはまだ認定していない。

2004年2月に上記の米ロ共同研究チームが、「115番新元素の原子核の初合成に成功し、その崩壊連鎖上の原子核として原子番号113の原子核も発見した」と発表した。
しかし、崩壊連鎖が既知の原子核まで到達していないため、現在はこれら元素の命名権を獲得するに至っていない。

理化学研究所は2004年9月に原子番号113の発見に成功したと発表した。
世界最高のビーム強度を有する理研線形加速器
で原子番号83のビスマスに、1秒間に2.5兆個の原子番号30の亜鉛ビームを80日間照射し続け、約100兆回の衝突を行わせ、原子番号113の原子を1原子合成し、確認することができた。

原子番号117と118は上記の米ロ共同研究チームが発見している。

 

 

トラックバック(0)

トラックバックURL: https://blog.knak.jp/knak-mt/mt-tb.cgi/1659

コメントする

月別 アーカイブ