富士フイルムは12月15日、携帯型超音波診断装置の大手企業SonoSite, Inc.をTOBにより友好的に買収することについて合意した。
SonoSiteの発行済普通株式の総数を総額約995百万米ドルで取得する。
SonoSiteは携帯型超音波診断装置のリーディングカンパニーで、ワールドワイドで高いシェアを持つ。
特に、患者がいる医療現場で、直接医師が治療方針の判断・処置を行うPoint Of Careにおいて、医療現場における医師のニーズを的確にとらえて、他社に先駆けそのニーズにこたえる機能を製品に搭載することにより、超音波診断装置の新たな応用分野を開拓してきた。
また、装置の超小型軽量化に寄与するASIC(特定用途向け集積回路)の設計技術を持つ技術力の高い会社で、高精細な「高周波プローブ」や新たな診断価値を生み出す「光超音波技術」など、次世代の超音波診断装置の開発において優位性のある高い技術も保有している。
超音波診断装置は、体表にプローブを当てて超音波を発生させ、体内で反射した超音波を受信し、画像データとして処理することで、臓器・血管・神経などの様子を可視化することができ、非侵襲で、かつ、大掛かりな設備が不要な画像診断装置。
また、超音波検査は、腹部、頸部、心臓、乳房、血管、神経などさまざまな部位をリアルタイムで診ることができる非常に汎用性の高い検査であり、X線画像診断が不得意とする軟部組織の描写力に優れるので、X線画像診断と極めて高い補完関係にある。
超音波診断装置の市場は、ワールドワイドで5000億円弱/年と、全医療画像診断装置で最大規模となっている。
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富士フイルムは、メディカル・ライフサイエンス事業を重要な成長分野として位置付け、「予防~診断~治療」の全領域をカバーする総合ヘルスケアカンパニーを目指した事業展開を進めている。
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上場廃止の声も聞こえているオリンパスは内視鏡事業で高いシェアを有しており、富士フィルムもこの事業を買収する可能性がある企業として名前が挙がっている。
富士フイルムの古森重隆社長は12月16日の会見で、質問に対し、「オリンパスの件は、まだ、内容が確定されていない。第三者委員会が調査しており、どういう背景があるのか、どういうことだったのか確定していない段階で、我々がとやかく言うことは時期尚早」と述べた。
オリンパスにはソニーやパナソニックも関心を抱いている。
パナソニックはオリンパスとともにデジカメの「マイクロフォーサーズシステム規格」を策定し、関連する要素技術とキーデバイスを共同で開発している。
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