Dowとトルコのアクリル繊維メーカーのAksa Akrilik Kimya Sanayiiは12月20日、カーボンファイバーと誘導品を製造販売するJVを設立する契約を締結した。
両社は6月にカーボンファイバーと誘導品を製造するJV設立の覚書を締結したと発表している。
2011/6/17 SABIC、カーボンファイバーの技術導入;DowもJV設立の覚書
今回の発表では、出資は50/50で、投資額は(将来の第三者の出資も含め)5年間で10億米ドルに達する見込み。
JV はYalova市にあるAksaの既存のカーボンファイバープラントを拡張、大規模プラントを建設する。
Dowではカーボンファイバー複合材料の市場は世界で100億ドルだが、2022年までに400億ドルに達すると予想している。
能力は明らかにしていないが、Aksaの既存プラント能力は年産1,500トン、現在第2系列2,000トンを建設中で、2012年には合計3,500トンとなる。
Aksaでは将来の目標能力を15,000トンとしており、これをJVで達成しようとしている可能性がある。
なお、PAN系炭素繊維では東レ、東邦テナックス、三菱レイヨンの3社が海外の拠点を持ち、世界市場のほとんどを押さえている。
現在の能力
東レ 17,900トン → 2013/1 21,100トン 東邦テナックス 13,500トン 三菱レイヨン 8,150トン 3社 計 39,550トン
2006/9/9 炭素繊維昨日の「回顧と展望」に記載の通り、日本の3社は長年にわたる技術の積み重ねと、日米欧に製造拠点を持つ供給体制で、サプライチェーンの中での「主導権の確保」を行っており、DowやSABICが頑張っても、追い付くのには時間がかかるであろう。
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Aksa は、化学、エネルギー、不動産、繊維の各部門で活躍するAKKÖK Group の一員で、アクリル繊維(カーボンファイバー原料)の製造能力は年産308千トンで、1プラントでは世界最大。世界市場で14.2%以上のシェアを持っている。
同社は1968年に設立され、Yalova市に1971年に年産5千トンのアクリル繊維プラントを建設、1986年に100千トンに、1997年に200千トンに拡大、2007年に現在の能力に引き上げた。
売上高は2010年が850百万ドルで、2011年には900百万ドルを超える見込み。
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