細野豪志・原発担当相は1月6日、運転開始から40年が経過した原発を原則として廃炉にする「40年運転制限制」を導入すると発表した。今年4月の法改正をめざす原子炉等規制法に盛り込む。延長申請があった場合には施設の老朽化や原子力事業者の技術能力を審査して例外的に認めるという。
付記
政府は、運転期間が40年を超えた原子力発電所を原則廃炉にする法改正案について、環境相の認可を条件に最長20年、1回に限り延長を認める例外規定を設ける方針を決めた。
既に40年経過しているのが3炉(うち1炉は廃炉決定)、本年中に40年になるのが1炉ある。
上記を含め、10年内に40年になるのが合計54炉のうち19炉ある。(廃炉決定の福島第一の4炉を含む)
敦賀市の河瀬一治市長は2011年6月1日の定例記者会見で、運転開始後40年を超えている敦賀1号機をめぐり、福島の知見で高経年化(老朽化)などの影響があったと明らかになった場合には「早く廃炉に持っていくことも選択肢の一つ」と述べ、2016年としている運転終了の前倒しもあり得るとの考えを 示していた。
発電所名 | ||||||||||||
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運転開始 | 型式 | 40年まで 年数 |
能力 (万KW) |
稼働中 (定検 時期) |
停止 | 廃炉 決定 |
1次 評価 | |||||
定期 検査 |
トラブル | 震災 | 政府 要請 |
提出 | 確認 | |||||||
北海道電力 泊 |
① 1989/6/22 | PWR | 57.9 | ○ | ○ | |||||||
② 1991/4/12 | PWR | 57.9 | ○ | ○ | ||||||||
③ 2009/12/22 | PWR | 91.2 | 4月 | |||||||||
東北電力 東通 |
① 2005/12/8 | BWR(Mark-I 改) | 110.0 | ○ | ○ | |||||||
東北電力 女川 |
① 1984/6/1 | BWR(Mark-I) | 52.4 | ○ | ||||||||
② 1995/7/28 | BWR(Mark-I 改) | 82.5 | ○ | |||||||||
③ 2002/1/30 | BWR(Mark-I 改) | 82.5 | ○ | |||||||||
東京電力 福島第一 |
① 1971/3/26 | BWR(Mark-I) | 0 | 46.0 | ○ | ◎ | ||||||
② 1974/7/18 | BWR(Mark-I) | 2 | 78.4 | ○ | ◎ | |||||||
③ 1976/3/27 | BWR(Mark-I) | 4 | 78.4 | ○ | ◎ | |||||||
④ 1978/10/12 | BWR(Mark-I) | 6 | 78.4 | ○ | ◎ | |||||||
⑤ 1978/4/18 | BWR(Mark-I) | 6 | 78.4 | ○ | ||||||||
⑥ 1979/10/24 | BWR(Mark-Ⅱ) | 7 | 110.0 | ○ | ||||||||
東京電力 福島第二 |
① 1982/4/20 | BWR(Mark-Ⅱ) | 110.0 | ○ | ||||||||
② 1984/2/3 | BWR(Mark-Ⅱ改) | 110.0 | ○ | |||||||||
③ 1985/6/21 | BWR(Mark-Ⅱ改) | 110.0 | ○ | |||||||||
④ 1987/8/25 | BWR(Mark-Ⅱ改) | 110.0 | ○ | |||||||||
日本原子力 東海 |
② 1978/11/28 | BWR | 6 | 110.0 | ○ | |||||||
東京電力 柏崎刈羽 |
① 1985/9/18 | BWR(Mark-Ⅱ) | 110.0 | ○ | ||||||||
② 1990/9/28 | BWR(Mark-Ⅱ改) | 110.0 | ○ | |||||||||
③ 1993/8/11 | BWR(Mark-Ⅱ改) | 110.0 | ○ | |||||||||
④ 1994/8/11 | BWR(Mark-Ⅱ改) | 110.0 | ○ | |||||||||
⑤ 1990/4/10 | BWR(Mark-Ⅱ改) | 110.0 | 3月 | |||||||||
⑥ 1996/11/7 | ABWR | 135.6 | 4月 | |||||||||
⑦ 1997/7/2 | ABWR | 135.6 | ○ | |||||||||
中部電力 浜岡 |
③ 1987/8/28 | BWR(Mark-I 改) | 110.0 | ○ | ||||||||
④ 1993/9/3 | BWR(Mark-I 改) | 113.7 | ○ | |||||||||
⑤ 2005/1/18 | ABWR | 138.0 | ○ | |||||||||
北陸電力 志賀 |
① 1993/7/30 | BWR(Mark-I改) | 54.0 | ○ | ||||||||
② 2006/3/15 | ABWR | 135.8 | ○ | |||||||||
日本原子力 敦賀 |
① 1970/3/14 | BWR(Mark-I) | 0 | 35.7 | ○ | |||||||
② 1987/7/25 | PWR | 116.0 | ○ | ○ | ||||||||
関西電力 美浜 |
① 1970/11/28 | PWR | 0 | 34.0 | ○ | |||||||
② 1972/7/25 | PWR | 1> | 50.0 | ○ | ||||||||
③ 1976/3/15 | PWR | 4 | 82.6 | ○ | ○ | |||||||
関西電力 大飯 |
① 1979/3/27 | PWR | 7 | 117.5 | ○ | |||||||
② 1979/12/5 | PWR | 7 | 117.5 | ○ | ||||||||
③ 1991/12/18 | PWR | 118.0 | ○ | ○ | ||||||||
④ 1993/2/2 | PWR | 118.0 | ○ | ○ | ||||||||
関西電力 高浜 |
① 1974/11/14 | PWR | 2 | 82.6 | ○ | |||||||
② 1975/11/14 | PWR | 3 | 82.6 | ○ | ||||||||
③ 1985/1/17 | PWR | 87.0 | 2月 | |||||||||
④ 1985/6/5 | PWR | 87.0 | ○ | |||||||||
中国電力 島根 |
① 1974/3/29 | BWR(Mark-I) | 2 | 46.0 | ○ | |||||||
② 1989/2/10 | BWR(Mark-I改) | 82.0 | 1月 | |||||||||
四国電力 伊方 |
① 1977/9/30 | PWR | 5 | 56.6 | ○ | |||||||
② 1982/3/19 | PWR | 56.6 | 1月 | |||||||||
③ 1994/12/15 | PWR | 89.0 | ○ | ○ | ||||||||
九州電力 玄海 |
① 1975/10/15 | PWR | 3 |
55.9 | ○ | |||||||
② 1981/3/30 | PWR | 9 |
55.9 | ○ | ○ | |||||||
③ 1994/3/18 | PWR | 118.0 | ○ | |||||||||
④ 1997/7/25 | PWR | 118.0 | ○ | |||||||||
九州電力 川内 |
① 1984/7/4 | PWR | 89.0 | ○ | ○ | |||||||
② 1985/11/28 | PWR | 89.0 | ○ | ○ | ||||||||
合計 | 54基 | 6基 | 29 | 3 | 14 | 2 | (4) | 11 | 0 |
PWR:加圧水型、BWR:沸騰水型、ABWR(Advanced BWR):改良型沸騰水型
BWRのうち、格納容器がMark-1型は問題とされている。
なお、伊方2号は1月13日に定検入りする。4月には全炉が停止する。
一次評価は2011年12月28日現在で11基が提出されているが、全てが保安院で評価中の段階。
手続きは、保安院への提出→保安院評価→安全委員会への報告→委員会の確認→3大臣(経産、原発担当、官房長官)判断となるが、3大臣が稼働を承認しても、稼働には地方自治体の了承が必要となる。
西川・福井県知事は2011年12月28日、停止している原発の再稼働について、高経年化(老朽化)対策や地震、津波に対するさらなるチェックを加えた上で「慎重かつ十分な信頼感を持った対応を県として進める必要がある」と述べた。
中部電は高さ18メートルの防波壁の建設などを柱とする約1000億円の対策工事に着手し、2012年末までに完成させる予定。
しかし、川勝平太・静岡県知事は、「福島第一原発事故で(浜岡原発と同じ)沸騰水型は危ないというのが日本人の共通認識になった」として、中部電の津波対策が完了しても再稼働を認めない方針を初めて明言した。(2012/1/1 読売新聞)
浜岡原発3、4号機が福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR-5改良標準型)、5号機がその改良型(ABWR)であることを問題視し、「津波対策ができても再稼働の話にはならない。事故を繰り返さないためにはパラダイム(思考の枠組み)を変えるしかない」と述べた。
福島第一の1号機~5号機 は沸騰水型で格納容器はいずれもMark-1(フラスコ型)、6号機は沸騰水型でMark-2(円錐型)
国際原子力機関(IAEA)閣僚級会議に出席した海江田経済産業相(当時)は2011年6月20日、ウィーンで会見し、東京電力福島第1原発1~5号機に使われている米GE開発の原子炉格納容器 MarkⅠについて、安全性の観点から、廃炉を含めた検討が今後の課題になるとの考えを示した。
2011/7/12 原発の安全性基準に関する「政府統一見解」MarkⅠは上表で青字表示。
沸騰水型(BWR、ABWR)が全て問題とすると、54基のうち、30基にものぼる。
参考 沸騰水型原子炉 格納容器
ソース:原子力安全研究協会編:軽水炉発電所のあらまし
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