米エネルギー省は1月23日、Annual Energy Outlook 2012 の速報を発表した。(完成版は4月に発表)
http://www.eia.gov/forecasts/aeo/er/executive_summary.cfm
1)エネルギー需要
経済は回復するが、需要面でのエネルギーの効率化により、需要の伸びはゆっくりしたものとなる。
輸送分野でのエネルギー需要は2035年までで年率0.2%の伸びを予想。
電力需要の伸びは0.8%。
1人当たりエネルギー消費は平均して0.5%の減となる。
2005年の物価換算でのGDP 1ドル当たりエネルギー消費(Btu)は2010年から2035年で42%下落する。
2)国内原油生産は増加
国内原油生産は1986年に始まった減少がこの数年は増加に転じた。
2007年の日量510万バレルから、2010年には550万バレルとなった。
今後10年では、メキシコ湾での開発の継続とタイトオイル(シェールオイル:Bakken Shaleなど)の開発で、2020年では1994年以来の670万バレルにまで増える。
2020年以降は減少するが、2035年まで610万バレル以上の水準を維持する。
3)エネルギー消費の効率化、国内生産の増、石油以外の液体燃料の開発などで、ネットの石油輸入は減少する。
国内原油生産 日量100万バレル増(2010-2020)
バイオ燃料 原油換算日量100万バレル以上増(2010-2024)
4)天然ガス生産は増加する。
シェールガス以外の生産は減少するが、シェールガスは大きく増加し、2035年には全体の49%を占める。(現在は23%)
5)米国の天然ガス生産は消費を上回る。
米国は2016年にはLNGのネット輸出国に、2025年には天然ガスのパイプライン輸出国になる。
2021年には天然ガス全体でのネット輸出国になる。北米以外でのLNG消費の増加、国内の天然ガスの生産増、他国と比べ安い米国の天然ガス価格を反映。
6)発電での再生可能エネルギーと天然ガスの使用が増加する。
石炭と原子力は横ばい(比率は減少)で、再生可能エネルギーと天然ガスの使用が増加する。
7)エネルギー関連でのCO2排出量は、2035年まで2005年水準を下回る。
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現状は天然ガス相場は、シェールガスの増加と最近の暖冬の影響で、100万BTU(英国熱量単位)=2ドル台と、10年ぶりの安値となっている。 大手のChesapeake Energy は1月23日、減産を発表した。
米国の天然ガス価格(スポット価格)は、1999 年までは100 万BTU 当たり2~3 ドル前後で推移してきたが、2000 年に入り上昇基調となり、2000 年12 月には10 ドルを超える史上空前の高値をつけた。
その後、一時的な乖離はあるが2008年末までは原油価格に合わせ上下し、2005年末には最高16ドル近くまで上昇した。
2009年に入り、原油価格が再度上昇に転じたの対して、天然ガス価格は(シェールガスの生産増に応じ)下落を続け、1月20日の先物は 2.322ドル/100万BTUとなっている。
アジア等での天然ガス相場と大きく差が出ており、原油価格との格差も大きい。
アジアの天然ガス相場は18ドル程度。
原油価格は100ドル/bbl。
(従来は図の通り、原油100ドル/bbl≒天然ガス10ドル/100万BTU)
天然ガスの輸出にはそのための設備が必要で、時間がかかる。
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