インド政府は2011年12月31日にサウジからの輸入PPに対するダンピング課税を終了させた。物品税関税中央局が12月30日に発表した。
インドは2009年2月24日にサウジとオマーン、シンガポールからの輸入PPについてアンチダンピング調査を開始、2010年11月にサウジのSABIC、National Industrialization Co.(Tasnee)、Saudi Advanced Petrochemicalの3社からの輸入PPに対し、6.5%のダンピング課税を行った。
中国商務部も2009年6月24日、サウジ、マレーシア、インドネシア、ニュージーランドの4カ国原産の輸入メタノールのダンピング調査を開始した。
これらに対し、サウジ政府は異常な程の反発を示し、両国に抗議を行った。
中国商務部は2010年10月25日、サウジについてはシロ、他の3国についてはクロの仮決定を行った。
サウジについては、政治的配慮を行ったとみられる。
3国については、12月23日にクロの最終決定を行い、ダンピング課税を発表したが、「特殊な事情により、国務院の委員会の承認を得て、追って通知するまで実施しない」との発表を行った。2009/7/7 サウジが中国のメタノールのダンピング調査に反発
今回のインドの発表では理由は明らかにされていない。
サウジのPPメーカーのAdvanced Petrochemicalsは「12月20日に本件でインドで政府のヒアリングが予定されていたが、急遽、理由なしでキャンセルされた。上層部で事態が解決されたのは間違いない」としている。
インドの決定は、イランに対する国際的な禁輸措置がペルシャ湾岸諸国からの石油出荷を妨げるとの懸念の高まりからと見られている。
インドはこのため、サウジからの追加の石油・天然ガスの輸入を強く求めていた。
Saudi政府は昨年、本件でのインドとの交渉の担当を通商産業省から石油省に変更、副石油相のPrince Abdulaziz bin Salman Al Saudが交渉に当たってきた。
サウジが本件の担当を石油省に変更したのは、サウジ政府のメッセージと見られている。
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EUは2011年12月、SABICのPETに対するアンチダンピング調査とサウジ政府の補助金調査を取りやめた。
EUは2011年2月に、欧州のAssociation of Product Manufacturerからの要請で調査を開始したが、サウジ政府からの要請を受け入れた。EUの利益を害していないとみなした。
サウジ政府は石油化学産業を最も重要視しており、国王令を出してサウジの石油化学製品に対するアンチダンピング措置に対応するチームを編成した。石油鉱物資源省を中心に、外務省、通産省、財務省が加わる。これに経済企画省、水電力省やその他の省庁、国際コンサルタント会社などが支援し、EUと交渉した。
付記
トルコ政府は2010年5月、サウジ(SABIC)とクウェート、ブルガリア原産の輸入MEGに対し、ダンピング課税を行った。
サウジ政府によると、トルコ政府はEUとインドがサウジに対するダンピング課税を止めたのを受け、SABICに対する課税を見直すことに同意した。
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付記
サウジはアジアへの投資拡大を狙っており、インド企業とのJVを望んでいる。インド側もサウジの投資を希望している。
1月3日、サウジのTawfiq Al-Rabiah通商産業相を団長とし、有力30社のトップを含む50人の代表団がNew Delhiに到着した。3日間にわたり、投資と貿易の協力関係強化と重要セクターでのJV設立に向け協議を行う。
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