PetroChinaとSinopecは1月5日、財務部が石油採掘企業に対して課税する特別収益金(Windfall-tax) の課税下限を2011年11月から引き上げたことを明らかにした。
従来は石油価格が40ドル/バレル以上の場合に課税されていたが、これを55ドル/バレル以上に変更した。
原油価格高騰によりPetroChina、Sinopec、CNOOCが空前の高収益を上げているのに対して、国内産業は原料・燃料価格の高騰で収益を圧迫されていることを受け、中国政府は2006年3月26日から特別収益金(Windfall-tax) を徴収することを決めた。一般には暴利税と呼ばれた。
特別収益金={(加重平均販売価格-40ドル)x 下記税率-下記控除額}x 販売数量
今回、以下の通り変更された。
原油価格(US$/bbl) 40~45 45~50 50~55 55~60 60以上 税率 20% 25% 30% 35% 40% 控除額(US$) 0 0.25 0.75 1.50 2.50
2006/7/14 SINOPECの損益構造の変化
特別収益金={(加重平均販売価格-55ドル)x 下記税率-控除額}x 販売数量
原油価格(US$/bbl) 55~60 60~65 65~70 70~75 75以上 税率 20% 25% 30% 35% 40% 控除額(US$) 0 0.25 0.75 1.50 2.50
原油価格が1バレル100ドルの場合、特別収益金は15.5ドルとなる。(従来なら21.5ドル)
原油価格は2008年央から急落したが、最近は100ドルに近づいている。
PetroChinaなどは40ドルを超えれば暴利というのはおかしいとして、課税開始価格の引き上げを要請していた。
Sinopec会長は昨年9月の国務院での会議で、1バレル50ドルでも低すぎるとし、Sinopecの国内の原油コストの平均は52ドルで、いくつかの油田のコストは70~75ドルにもなると述べた。
しかし、SinopecとPetrochinaの2010年決算は、Refiningに関しては政府がインフレ抑圧のため値上げをしないよう強い圧力をかけているため減益となったが、開発部門は(「暴利税」を払っても)大増益となっている。
2011/4/8 SinopecとPetrochinaの2010年決算
今回、政府は課税の下限を37.5%引き上げたが、人民元はこの制度が導入された2006年3月以降、ドルに対して23%上昇しているため、実質的な引き上げ幅は小さい。
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