BPは2月7日、第4四半期と2011年の決算を発表した。
事故関連費用を除いた損益は2010年を若干下回ったが、石油価格の高騰を受け、2009年をはるかに上回っている。
なお、損益内訳では「川上」が圧倒的である。
メジャー各社は川上分野に注力している。
参考 2011/7/20 ConocoPhillips、石油開発と精製に会社分割
2012/1/30 ExxonMobilが東燃ゼネラル石油から実質撤退
事故関連費用については、パートナーであったAnadarkoと三井石油開発、及び掘削業者2社との和解による入金などで38億ドルの戻入があり、最終損益で257億ドルもの利益を計上した。
同社は2010年第1四半期から第3四半期分を無配とし、第4四半期に復配したが、2011年第4四半期については増配する。
決算内容は以下の通り(単位:百万ドル)
2009 | 2010 | 2011 | |||||
一般 | 事故 | 合計 | 一般 | 事故 | 合計 | ||
Exploration &
Production |
24,800 | 30,886 | 30,886 | 30,500 | 30,500 | ||
Refining & Marketing |
743 | 5,555 | 5,555 | 5,474 | 5,474 | ||
事故関連 | -40,858 | -40,858 | 3,800 | 3,800 | |||
調整 | -717 | 447 | 447 | -113 | -113 | ||
金利・税前損益 | 22,504 | 35,372 | -40,858 | -5,486 | 33,383 | 3,800 | 37,183 |
金利(net) | -1,302 | -1,046 | -77 | -1,123 | -925 | -58 | -983 |
税金(Replacement
cost base) |
-7,066 | -10,804 | 12,894 | 2,090 | -10,516 | -1,387 | -11,903 |
少数株主持分 | -181 | -395 | -395 | -397 | -397 | ||
Replacement cost 損益 |
13,955 | 23,127 | -28,041 | -4,914 | 21,545 | 2,355 | 23,900 |
在庫損益 | 3,922 | 1,784 | 1,784 | 2,634 | 2,634 | ||
対応の税金 | -1,299 | -589 | -589 | -834 | -834 | ||
財務損益 | 16,578 | 24,322 | -28,041 | -3,719 | 23,345 | 2,355 | 25,700 |
BPは2010年決算で事故関係の費用409億ドルを引き当てた。
これには2010年6月16日のオバマ大統領とBP首脳陣の会談でBPが約束した200億ドルの基金を含んでいる。
一方で同社はパートナーのAnadarkoと三井石油開発に持分相当の請求を行うとともに、掘削業者の責任も追求した。
2010/7/1 BP、パートナー2社に事故関係費用分担金を請求
長期間の交渉の結果、パートナー2社と業者2社とは和解に達した。
2011/5/20 BPと三井石油開発、メキシコ湾原油流出事故損失負担で和解
2011/10/19 BP、メキシコ湾原油流出事故でAnadarko Petroleum と和解
なお、掘削業者のTransoceanとHalliburtonはともに、BPとの契約で損害賠償について免責されていると主張、2社とBPはともに訴訟を行った。
1月末に出たそれぞれの判決では、損害賠償については契約に基づき免責となったが、懲罰的賠償や民事制裁金については免責されなかった。Halliburtonについては損害賠償の免責は条件付となったが、現時点では欺瞞行為は認定されていない。
相手 | 和解 | 判決 | |||
損害賠償 | 懲罰的損害賠償 民事制裁金 | ||||
2011/5 | 三井石油開発 | 10%の持分 | 1,065百万ドル | ||
2011/10 | Anadarko | 25%の持分 | 4,000百万ドル | ||
2011/6 | Weatherford U.S | 掘削機器部品 float collar供給 |
75百万ドル | ||
2011/12 | Cameron International | Blowout preventerの 設計・製造 |
250百万ドル | ||
2012 | |||||
1/26 | Transocean | Rig 所有、掘削作業 | 免責 | 免責せず | |
1/31 | Halliburton | セメント作業 | 免責 但し、BPへの欺瞞行為 あれば免責せず |
免責せず | |
和解金合計 | 5,390百万ドル |
BPは事故を受け、2010年の第1四半期から第3四半期分の配当を無配とした。
2010年第4四半期分からは普通株について1株当たり7セントの配当を再開したが、今回、第4四半期分の配当を8セントに増配することを決定した。
BPでは2011年のOperating cash flowが220億ドルに達し、2010年を60%も上回り、また、現在の原油100ドルが続いた場合に2014年のCash flowは2011年の50%増しになるとみている。
同社では増加分の半分は投資に回し、残り半分は増配を含めた他の目的に使うとしている。
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