Eastman Chemical、Solutia を買収

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Eastman Chemical は1月27日、Solutia Inc. の買収を発表した。買収価額はSolutiaの負債込みで47億ドル。

Solutiaは1997年9月にMonsantoの化学部門が分離独立して設立された会社である。
(日本のソルーシアの元は1952年設立の三菱モンサント化成)

Monsanto からスピンオフした際に引き継いだ法的債務(訴訟費用・賠償金、環境対策費用、退職者医療費債務等)で毎年1億ドル程度を支払い、これが負担となっていた。

このため、2003年12月に連邦破産法11条申請を行った。
2008年2月28日、Chapter 11手続きを終了し、再生に向けスタートした。

2008/3/4 Solutia、破産手続き終了

なお、現在のMonsantoは農業バイオテクノロジーのリーディングカンパニーで、除草剤「ラウンドアップ」などの農薬事業と畜産事業の「農業関連製品事業部門」と、遺伝子組み換え種子等の「種子とバイオテクノロジー製品事業部門」を持つ。

Eastman Chemical の企業戦略は以下の通りで、Solutia買収はその全てに合致したものであるとしている。

 ・Growing core businesses    自動車や建築等の市場を狙う。
 ・Bias toward emerging markets Eastmanの売り上げの25%がアジア太平洋地域(Solutiaは30%)
 ・Focus on sustaibale businesses 再生可能資源利用、製品の安全性

2006/11/22 Eastman Chemical、石炭ベースの化学品志向へ

Eastmanはこれまで、汎用品事業、非コア事業から撤退し、スペシャルティ事業を拡大、アジアに展開してきた。
Solutiaも同様で、統合により、スペシャルティの事業を拡大するとともに、成長するアジアへの展開を促進する。

Eastman の動き

2004   CASPI(coatings, adhesives, specialty polymers and inks)のうち、不採算事業をApollo Managementに売却
2005   工業用酵素のGenencorの42%持分をDaniscoに売却
 その後、DuPontがDaniscoを買収(
2011/5/27 DuPontDaniscoの買収成功
2007   PE事業売却
  2006/10/16  Eastman、ポリエチレン事業をWestlakeに売却
2009   Beaumont, Texasのindustrial gasification計画を中止(高コスト、原料価格差、環境問題等)
  2007/8/10 
Eastman、メキシコ湾岸で石油コークスのガス化計画 2件に参加
2010   PET事業売却
  2010/10/29 
Eastman Chemical、PET事業をメキシコ企業に売却 
2011   Sterling Chemicals 買収
  
2011/6/29  Eastman Chemical、Sterling Chemicalsを買収

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Solutiaの動き

2004 食品添加物事業をNovus International に売却
2005 
Acrylic Fibers事業から撤退
2007 水処理用フォスホン酸塩製造事業部門であるDequestをThermphos Trading GmbHに売却
2009 Nylon事業を
SK Capital Partners IIに売却

2010年の売上高は 1,950百万ドルで、内訳は以下の通り。

Advanced Interlayers  世界最大のポリビニルブチラール(PVB)樹脂中間膜メーカー
  自動車や建築用合わせガラスに使われる機能性中間膜、太陽電池用封止材など

Performance Films  全世界の自動車用および建築用ウィンドウフィルム市場でN0.1のシェア
  省エネ、プライバシー防犯、防災の機能を付加するウィンドウフィルム

Technical Specialties 
  有機合成熱媒体、航空機用作動油など

 

両社ともアジアに進出しており、統合によりアジア(特に中国)での存在感が強まる。

 

 

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