スイスの商品取引最大手Glencore
Internationalは2月7日、同国の資源大手Xstrataを260億ポンドで買収し、対等合併すると発表した。
新会社の社名はGlencore Xstrata International PLCとなる。
Xstrata 1株に対し、Glencoreは新株2.8株を割り当てる。これは2月1日のXstrata株価に対して15.2%のプレミアムとなる。付記
Xstrataの株主のカタールの政府系ファンド Qatar Holding (12%出資)などが合併条件の見直しを求めており、7月中の株主総会承認は難しくなった。
付記
Glencoreは2012年9月7日、Xstrataの買収案を引き上げた。
Xstrata株主に割り当てるGlencoreの新株数を2.8株から3.05株に引き上げた。
買収額はおよそ370億ドル規模となる。
Glencoreはまた、株主による承認を得やすくするため、合意の仕組みを変更する可能性についても提案した。
Xstrataは2月2日、Glencoreが株式交換による「対等合併」案について打診してきたことを明らかにした。
Glencoreは既にXstrataの株式の 34%を保有している。XstrataがGlencoreの炭鉱を取得した際に、Glencoreが大株主となった。
Glencoreは商品取引が中心だが、鉱山事業への投資を加速中で、同社のCEOは2011年5月の新規株式公開後、XstrataへのM&Aに取り組むことを公言していた。
これに対し、Xstrataの株式を合わせて3.6%保有するStandard Life InvestmentsとSchrodersは、今回の合併案はXstrataの価値(Xstrataの資産と今後の業績の寄与)を過小評価しているとし、合併に反対する意向を表明した。今後他の株主も同様の動きに出る可能性がある。
新会社は採掘から処理加工、貯蔵、輸送、物流、マーケティング、販売までを一貫して手掛ける総合資源会社となり、今年の総売上高は2,090億ドルになると見込まれている。
Glencoreは現在、年間約2000万トンの火力発電向け石炭を生産しているが、Xstrata買収で生産能力は5倍に跳ね上がる。
日本の石炭輸入に影響が出ると懸念されている。
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Xstrataはスイスに本拠を置く資源会社で、銅、コークス用石炭、発電用石炭、クロム鉄、ニッケル、バナジウム、亜鉛の7つのコモディティを中心に国際市場で活動しており、このほか、プラチナ、金、コバルト、鉛、銀なども扱っている。
発電用石炭では世界最大の輸出業者である。
Xstrata に対してはブラジルの資源大手Vale do Rio Doceが2008年初から買収交渉を続けたが、同年3月、買収交渉が決裂した。
Xstrataの株の34%を握るGlencore International が障害となった。
Rio Doceが45ポンド/株を提案したのに対し、Glencoreは50ポンド/株を要求した。
同社はまた、Rio Doce によるXstrata 買収後に両社の製品を販売する権利を要求したが、これはValeが呑めない要求であった。
Xstrata は2009年6月、Anglo American に対等合併の提案書を送付した。
両社の合併は大きなシナジー効果があるとした。
Anglo American の前身は1917年9月にSir Ernest Oppenheimer (ダイヤモンドへの投資で成功)が金鉱床の開発を目的として設立したAnglo American Corporation of South Africaである。
鉱物資源、製紙・林業、建設業、金融サービス業など幅広い分野に事業を展開、プラチナ(Anglo Platinum)では世界最大で、世界需要の37%を扱っており、ダイヤモンドではDe Beers Investments に45%出資している。
しかし、Anglo Americanはこれを拒否し、2009年10月にXstrataは交渉を断念した。
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Glencore Internationalは1974年設立のスイスの商品取引最大手で、40か国以上に50の事務所を置いて商活動を行い、13か国に15工場を有する。
Metals and Minerals、Energy Products、Agricultural Productsの3部門を持ち、以下の製品を扱っている。
Metals and Minerals
アルミナ/アルミニウム、亜鉛/銅/鉛、フェロアロイ/ニッケル/コバルト/鉄鉱石
Energy Products
石油製品、石炭/コークス
Agricultural Products
小麦/トウモロコシ/大麦、食用油/油糧種子、砂糖
Glencore InternationalはXstrataの34%を所有するほか、以下の各社に出資している。
スイスのCentury Aluminum(アルミ事業持株会社)44%(議決権の39%)
コンゴの銅・コバルト鉱山Katanga Miningの74.8%
ロシアのアルミ大手United Company RUSALの8.8%
2006/9/5 ロシアのアルミ最大手RUSAL、同国2位のSUALを買収
海上燃料輸送のChemoil Energy の51.5%
金属・プラスチックのリサイクル大手のRecylexの32.2%
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