矢崎総業とデンソー、自動車用ワイヤーハーネス等のカルテル問題で米司法省と司法取引

| コメント(0) | トラックバック(0)

米司法省は1月30日、矢崎総業とデンソーが米国での自動車用ワイヤーハーネス等のカルテルで有罪を認め、548百万ドルの罰金を支払うことで合意したと発表した。 (DOJ発表

矢崎総業はワイヤーハーネス、インパネクラスター、ヒューエルセンサーの3件に係わった。
デンソーは電子制御ユニット(ECU)と
ヒーター操作パネル(HCP)の2件に係わった。

矢崎総業の罰金は470百万ドルで、これは米独禁法(Sherman Act)での2番目に大きい罰金となる。
デンソーの罰金は78百万ドル。

過去最高額は1999年にスイスのF. Hoffmann-La Rocheがビタミンカルテルで支払った5億ドル。

ビタミンカルテルはリジンカルテルを契機に摘発された。クエン酸カルテルに関するHoffman-LaRocheなどの調査でビタミンカルテルの存在が分かった。

米・スイス・独・日・加の計11社に総額9億1050万ドルの罰金  
 武田薬品 72百万ドル  
 エーザイ 40百万ドル  
  第一工業製薬 25百万ドル  
  Roche 500百万ドル  
  BASF 225百万ドル  
  Merck  14百万ドル  
  Degussa-Huls  13百万ドル  
  Lonza 10.5百万ドル  

別途、矢崎総業の4人が15か月から2年の禁固刑を受ける。2年は米独禁法で外国人の禁固刑では最長となる。
(下記の通り、
ブリヂストン社員がマリンホース国際カルテルで2年の禁固刑を受けている。)

O氏、T氏 各15か月
H氏、K氏 各2年

4人はまた、それぞれ2万ドルの罰金を支払う。 

付記

米司法省は3月26日、デンソーの社員 I氏が有罪を認め、1年と1日の禁固刑、2万ドルの罰金を言い渡されたと発表した。.

既報の通り、古河電工は9月29日、米国司法省との間で、自動車用ワイヤーハーネス係るカルテルに関して以下の内容の司法取引に合意した。(DOJ 発表

 1.罰金200 百万米ドルを支払う。

 2.社員3名が有罪を認め、禁固刑に服する。
     F氏 1年と1日
     N氏 15か月
     U氏 18か月

2011/10/4 古河電工、自動車用ワイヤーハーネス・カルテル問題で米国司法省と合意 

司法省によれば、日本の自動車部品3社の罰金合計は748百万ドルとなり、昨年度の独禁法の罰金合計を超えた。

付記

米司法省は4月23日、フジクラが米国での自動車用ワイヤーハーネス等のカルテルで有罪を認め、20百万ドルの罰金を支払うことで合意したと発表した。


矢崎総業は日本でも、ワイヤーハーネスカルテルで96億円(1社に対する課徴金額として過去最高額)、建設・電販向けでは72.6億円、VVFケーブルでは24.6億円の課徴金支払い命令を受けている。

2012/1/28  公取委、自動車用ワイヤーハーネスのカルテルで課徴金 

ーーー

日本人で米国の独禁法で禁固刑となるのは、9人となる。(3/26 +1名)

 最初はダイセル社員(防カビ剤のソルビン酸価格カルテル)

日本在住であったが、今後一切、海外に行けないのでは仕事にならないため、自ら渡米し、3ヶ月の禁固刑に服した。

2006/2/16 独禁法改正

 もう一人はブリヂストン社員(マリンホース国際カルテル)

現場で逮捕された。有罪を認め、2年の禁固刑と8万ドルの罰金を課せられた。

2008/12/12 マリンホース国際カルテル事件で日本人に有罪判決

 これに自動車部品関連での7人(古河電工3人、矢崎総業4人)が加わった。(+デンソー1名)


実際にはこれ以外に非常に多くが起訴されているが、日本在住の場合は犯罪人引渡条約の対象(両国でいずれも処罰の対象となり両国の法律で死刑、無期懲役、1年以上の拘禁刑に当たる罪の場合)に該当しないため、米国での時効の中断状態となっている。
(米国や欧州などに行った場合は逮捕され、米国で裁判を受ける)

 

付記

米国において罰金が科された日本企業上位10社

  企業 罰金額($) 対象商品
1 古河電工 2011 2億 ワイヤーハーネス
2 シャープ 2009 1億2000万 液晶ディスプレイパネル
3 日本航空 2008 1億1000万 国際航空貨物輸送運賃
4 エルピーダメモリ 2006 8400万 DRAM
5 全日空 2010 7300万 国際航空貨物輸送運賃及び旅客運賃
6 パナソニック 2011 4910万 冷却用コンプレッサー
7 日本貨物航空 2009 4500万 国際航空貨物輸送運賃
8 日立ディスプレイズ 2009 3100万 液晶ディスプレイパネル
9 ブリヂストン 2011 2800万 マリンホース
10 日本通運 2011 2111万5396 国際航空貨物輸送運賃

(注)平成24年1月現在。
(※)古河電工の罰金額については,現時点において連邦裁判所未承認。
(出所)米国司法省反トラスト局ホームページに基づき公正取引委員会作成。

参考 欧州において制裁金が賦課された日本企業上位10社

  企業 罰金額
  (ユーロ)
対象商品
1 YKK 2007 1億5025万 ファスナー
2 三菱電機 2007 1億1857.5万 ガス絶縁開閉設備
3 東芝 2007 9090万 ガス絶縁開閉設備
4 ブリヂストン 2009 5850万 マリンホース
5 日立製作所 2007 5175万 ガス絶縁開閉設備
6 ソニー 2007 4719万 業務用ビデオテープ
7 電気化学工業 2007 4700万 クロロプレンゴム
8 旭硝子 2011 4513万5000 ブラウン管ガラス
9 日本電気硝子 2011 4320万 ブラウン管ガラス
10 日本航空 2010 3570万 燃油サーチャー

 (注)平成24年1月現在。
(出所)欧州委員会ホームページに基づき公正取引委員会作成。

http://www.jftc.go.jp/teirei/h24/120118siryou.pdf
 

 

 

トラックバック(0)

トラックバックURL: https://blog.knak.jp/knak-mt/mt-tb.cgi/1729

コメントする

月別 アーカイブ