米国の貿易収支赤字

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米商務省は2月10日、2011年の貿易収支を発表した。

財とサービスの取引を合計した国際収支ベースの赤字は前年比11.6%増の5580億ドルと大幅に拡大、2008年以来3年ぶりの高水準となった。GDP比で3.7%になる。

但し、赤字は金融危機前からは縮小している。

単位:億ドル
  輸出 輸入 バランス
2007  16,546  23,613 -7,067
2008 18,427 25,410 -6,983
2009 15,750 19,563 -3,813
2010 18,376 23,376 -5,000
2011 21,031 26,611 -5,580

 

内訳は以下の通りで、輸出、輸入ともに増大した。(いずれも過去最大)

単位:億ドル
  輸出 輸入 バランス  
2010 12,887 19,346 -6,459  
 うち中国 919 3,649 -2,731 42.3%
日本 605 1,205 -601 9.3%
その 11,363 14,491 -3,127  
サービス 5,489 4,030 1,458  
合計 18,376 23,376 -5,000  
2011 1,498.2 2,235.3 -737.1  
うち中国 1,039 3,993 -2,955 40.1%
日本 662 1,288 -626 8.5%
その 13,282 17,072 -3,790  
サービス 6,049 4,259 1,790  
合計 21,031 26,611 -5,580  

サービスを除く貿易赤字のうち、対中国赤字が2955億ドルで全体の40%を占めている。(対日赤字は8.5%)

対中赤字は2000年代前半から一貫して増加、2009年には金融危機の影響で貿易量が減少して一時減ったが、2011年は10年比で増加している。

このため、米国内で人民元問題などで対中強硬論が拡大する可能性がある。
共和党の大統領候補のロムニー前マサチューセッツ州知事は「為替操作国認定」の方針を明言している。

オバマ大統領は1月24日の一般教書演説で、「競争相手がルールを無視した場合に傍観はしない」と述べ、中国の通商政策や知的財産侵害を批判した。
中国などの「不公正な貿易慣行」を調査する新部局の新設を明言し、米中摩擦の解消に善処するようくぎを刺した。

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中国の次期指導者に内定している習近平国家副主席が2月13日から訪米し、オバマ大統領などと会談する。

中国当局者は逆に、習副主席の訪米時にハイテク製品の対中輸出規制の撤廃を求めることを明らかにした。
「中国は米国からの輸入を拡大する用意があり、障害を取り除いてほしい」と述べ、米が軍事転用が可能だとして制限しているハイテク輸出の条件緩和を求めた。

人民元については、「我々は確固たる改革を進めてきたし、今後もさらに改革する」と述べるにとどめた。

中国人民銀行は2月10日の人民元の中間値を過去最高の6.2937元/ドルに設定した。
同日に一時、過去最高の6.2884元/ドルを記録、
人民元を管理フロート制に戻した2010年6月19日の前日の終値 6.8262人民元に比して8.55%の人民元高となった。

中国の2011年の輸出額は1兆8986億ドル、輸入額は1兆7434億ドルで、貿易黒字は1551億ドルとなった。

2012/1/12 中国の2011年貿易収支

なお、2012年1月の中国の輸出入は大きく減少した。
本年は春節の休み(1週間)が1月になったこともあるが、それを折り込んだ予想より減少しており、ユーロ圏の金融危機や米国の景気低迷の影響が出ていると見られており、中国経済の減速への懸念が高まっている。

 

 

 

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