愛知沖でメタンハイドレート掘削スタート

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独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は2月15日、愛知県渥美半島沖で、次世代エネルギー資源と期待される「メタンハイドレート」の海洋産出試験に向けた海底掘削を始めた。

掘削する海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」は、船中央部のやぐらから海底に向けて、先端にドリルをつけたパイプを下ろした。

「ちきゅう」は全長210m、幅38mで、海底から地中へ7千メートル掘る能力がある世界最高水準の探査船。波や風を受けても、高い精度で船を同じ位置に保つことができる。

計画では、水深約1000mの海底を約260m以上掘る。氷状のメタンハイドレートを地層内でメタンガスと水に分解して地上に取り出す試験井戸と、周辺の環境への影響を調べるための観測井戸の計4本を10~20m間隔で3月下旬までに掘る。

「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」のフェーズ1(2001~2008年度)では、東部南海トラフ海域(静岡県から和歌山県の沖合にかけた海域)をモデル海域として地震探査・試掘などの調査を実施し、同海域において、相当量のメタンハイドレートの賦存を確認している。

 

2009年度から開始された同計画のフェーズ2では、メタンハイドレートを天然ガスとして取り出す技術の開発を目指しており、今回の試験は、海洋における世界初のメタンハイドレート産出実験となる。

来年1~3月に世界初となる海洋産出試験を計画している。

事業費は約170億円。

陸上では石油天然ガス・金属鉱物資源機構が世界で初めて減圧法によりメタンハイドレートからメタンガスを連続的に生産することに成功した。
2008年3月、カナダ北西部のBeaufort海沿岸陸上地域で、永久凍土の地下約1100mに存在するメタンハイドレート層からメタンガスを産出する試験を実施したと発表した。カナダの天然資源省と共同研究の形で、約6日間の産出試験に成功した。

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清水建設は2009年3月、ロシア科学アカデミー陸水学研究所、北見工業大学及び北海道大学と共同で、バイカル湖水深約400mの湖底で、湖底表層に閉じ込められたメタンハイドレートから、ガスを解離・回収する実験に成功したと発表した。

2008年8月にバイカル湖の南湖盆の水深約400mの湖底で成功したガス回収は、「チャンバー」と呼ばれる鋼鉄製・茶筒状の反応容器内で、メタンハイドレートと水を攪拌、水に溶かしたメタンハイドレートを湖上へ運び、ガスを解離・回収した。
海底または湖底を含め、表層メタンハイドレートから、ガスの解離・回収に成功したのは、今回の実験が世界で初めて。

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韓国は2007年に東海(日本海)の鬱陵海盆(対馬海盆)海域で埋蔵量6億トンを超えると推定される大規模ガスハイドレート層を発見したと発表した。

韓国知識経済部は2010年2月、このガスハイドレート開発のため、4月末から2次ボーリング作業を始めると発表した。
(その後の報道は見当たらない)

     日本政府は1978年に国際水路機関に「対馬海盆」とし登録

2010/2/23   韓国、対馬海盆でガスハイドレート開発

 

Frank Schatzing の海洋サイエンスフィクション "The Swarm"(邦訳「深海のYrr」)には、北海のMethane hydrate 採掘現場で海底が大崩壊し、発生した津波で欧州の沿岸区域が壊滅する話が含まれている。

 

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コメント(2)

資源国家ではない日本がこの手の開発を独自に進めているとは思えません。どうしても、
アメリカの了承をもらっているのではと思ってしまうのですが、アメリカの企業が参加している、もしくはする予定なのでしょうか。(たとえばBECHTEL)

在来型の資源がないからこそ、必死でやっていると思います。
米企業は参加していませんし、米国の了承などは関係ないと思います。

カナダでのメタンハイドロレート採掘テストはカナダの天然資源省と共同研究の形で行いましたが。

なお、この計画が採算に乗るとは思えません。技術的にも難しく、環境問題を起こす可能性が多分にあります。

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