カナダの天然ガス最大手のEncana Corporationは2月17日、British ColumbiaのCutbank Ridgeの未開発の土地でのシェールガス開発で三菱商事と提携したと発表した。
三菱商事は新たに子会社Cutbank Dawson Gas Resources を設立し、29億カナダドルを投じて40%の権益を取得し、Cutbank Ridge 埋蔵エリア(Play)の409千エーカーのMontney層天然ガスランドの開発を行う。
三菱商事は2月末までに権益を取得する予定。
付記
国際協力銀行(JBIC)は8月12日、三菱商事のCutbank Dawson Gas Resourcesとの間で、融資金額650百万加ドル限度の貸付契約に調印した。三菱東京UFJ 銀行及びみずほコーポレート銀行との協調融資。
JBICの「円高対応緊急ファシリティ」の下での資源・エネルギーの確保・開発の促進に係る案件。
なお、この取引にはEncanaの既存の生産分(天然ガス日量6億立方フィート)や加工プラント、集荷システム、EncanaのAlbertaの土地などは含まれない。
Encanaは2011年2月、PetroChinaとの間でCutbank Ridge事業を50/50のJVとすることで合意した。
PetroChinaはEncana Corporation から権益の50%を54億カナダドルで買収するもの。Encanaが生産している日量4億立法フィートに新たなMontney層を加えると、約7億立法フィートとなる。
資産は130万エーカーの土地、3,400kmのパイプライン、Hythe地下ガス貯蔵タンクを含む。しかし、両社は6月21日、条件が折り合わず、交渉を中止したと発表した。
2011/2/16 PetroChina、カナダの天然ガス権益取得
今回の三菱商事の取得権益は今後のCutbank Ridge事業のみで、PetroChinaのケースと比べると範囲は狭い。
契約ではEncanaはCutbank Ridge Partnershipの60%、三菱商事は40%の権益を持つ。
三菱商事は契約発効時に14.5億カナダドルを支払い、今後、開発投資費用の40%と伴に、今後5年間の開発期間のEncanaの開発費用の半分の肩代わりとして14.5億カナダドルを負担する。
Encanaは操業を担当する。
Cutbank Ridge Partnershipが保有する天然ガス資産の合計可採埋蔵量は、35兆立方フィート(約7.2億トン)以上と推定され、日本の天然ガス年間需要の約9年分に相当する膨大な量が見込まれている。
今後5年間でPartnershipとして総事業費約60億カナダドル以上を投じ、累計約600本以上の生産井を掘削して開発を進める。
生産期間は50年以上で、今後10年の間に日量約30億立方フィート(約2,250万トン/年)の生産を目指す。
三菱商事は現在、コルドバ堆積盆地で天然ガスの開発を進めている。
同社は又、現在、カナダで生産した天然ガスを原料に、液化天然ガス(LNG)として輸出する可能性についても検討を進めている。
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福島第1原発の事故後、火力発電の燃料として日本のLNG需要が急増している。
2011年の輸入量は7853万トンと前年比12%増えた。
世界的な需要増でスポット価格も上昇している。
日本でLNG輸入が本格化した1970年代の発電燃料は石油のため、原油価格連動でLNG価格を決めた。
その後LNGを導入した韓国や台湾も同じシステムを採用し、これが一般ルールとなった。
このため、原油価格の上昇により、LNG価格も上がっている。
(米国では天然ガス価格は需給で決まる。)
これに対し、米国の天然ガス市況はシェールガス増加で大幅に下がり、100万BTU当たり 2ドル台になっている。
付記 LNG輸入の場合、これに液化費用と輸送費(合計で100万BTU当たり5~6ドル?)がかかる。
従来は、原油100ドル/bbl≒天然ガス10ドル/100万BTUであった。
現在の米国の天然ガス価格は原油価格との格差が大きく、アジアの天然ガス価格とも大きな差がある。
天然ガスの輸出にはそのための設備が必要で、時間がかかる。
また、米国は基本的に戦略物資として「エネルギー輸出禁止」政策を採っており、政府の承認が必要。
日本の各社のシェールガス等非在来型資源の開発状況は以下の通り。
三菱商事 ①ブリティッシュ・コロンビア州のCordova堆積盆地のシェールガス Penn West Energy Trustから50%の権益 2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画 2011/5/14 中部電力、東京ガス、大阪ガスとJOGMEC、カナダシェールガス開発プロジェクトに参加
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三井物産 ①ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアのシェールガス Anadarko Petroleum から32.5%の権益 2010/2/18 三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画
2011/7/4 三井物産、テキサス州のシェール開発に参加 |
住友商事 ①テキサス州Barnett Shale field開発 Carrizo Oil & Gasから12.5%の権益 ②ペンシルベニア州Marcellus Shale field開発 Rex Energyから30%の権益 2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画 |
双日 テキサス州北東部Carthage onshore gas 鉱区Tightsand gas、シェールガス 2007年7月に権益取得 2010/10/19 伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う |
伊藤忠 ①ワイオミング州Niobraraのシェールオイル Fidelity Exploration & Production(MDU Resources Group子会社)から25%の権益 2010/10/19 伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う ②2011/11/28 KKRと伊藤忠など、米Samsonを72億ドルで買収へ |
丸紅 ①Niobrara shale oil 2011/4/13 丸紅、米国のシェールオイル開発計画に参加
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日揮 ①テキサス州Eagle Ford シェール 2011/6 TriTech I, LLCからChesapeake Energy運営の鉱区の10%の権益
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