伊藤忠商事は3月5日、米国の第2世代バイオエタノール事業のベンチャー企業 ZeaChem Inc. の株式を取得したと発表した。
出資比率は数%とみられる。
伊藤忠商事とZeaChemは第2世代のバイオエタノール事業分野(将来的にはバイオマスから生産するグリーンケミカル事業分野)に、地域ごとのパートナーを得ながら世界各地への展開を検討する。
ZeaChemは米国で独自に事業展開するが、伊藤忠は中国や東南アジア、南米やオーストラリアなどで需要を開拓する。まずアジアに生産拠点を設ける計画で、現地の化学メーカーなどとの合弁を想定し、年産40万キロリットル程度の製造工場を2014年をメドに稼働させる方針。
10年後に約1千億円の売上高を目指す。
既存のエタノールの製造はトウモロコシやサトウキビなどを主な原料としているが、これらは食料と競合する。
このため、大量調達が可能で非食用のバイオマスを原料としたバイオエタノール生産に世界中が着目しており、第2世代バイオエタノール(or セルロース系エタノール)と呼ばれている。
これらは従来のエタノール生産と比べると、エタノール変換効率が極めて低く、安価に生産できないことが課題であった。
ZeaChemは、炭酸ガスの発生をなくしたことや、バイオマスの残渣もうまく活用したことで、エタノールへの変換効率を大幅に上げることに成功した。
ZeaChemのプロセスは使用するバイオマスの種類を選ばないため、収穫の季節に大量に出る農業残渣も利用でき世界中への展開が可能。
更に、ZeaChemのプロセスを利用するとプロピレンなどの化学品も作ることが可能となる。
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ZeaChemのシステムはシロアリの腸内細菌(Termite-Gut Bugs)から取れる酵素を利用する。
プロセスは以下の通りで、CO2の副生がないこと、残渣から水素を取ってエタノール生産に使うとともに、シンガスを蒸気と電力用に使用するという非常に効率的なものとなっている。
同社はオレゴン州Boardmanに年産25万ガロンのバイオリファイナリーを持っている。
(建設費のうち25百万ドルは、2009年のアメリカ復興・再投資法によるエネルギー省からの補助金)
同社のプロセスでは下記の通り、C2~C6までの製品の生産が可能となる。
C2系 C3系 C4系 C6系 酢酸
↓
氷酢酸
↓
酢酸エチル
↓
エタノール
↓
エチレン
↓
エチレングリコール
乳酸
↓
プロピレングリコール
アクリル酸、エステルブタノール ヘキサノール
ヘキセンプロピオン酸
↓
プロパン
↓
プロピレン
↓
メタクリル酸、エステル
他の技術は単一製品しか生産できないが、同社の製法は製品を切り替えることが出来、状況の変化に応じて最も採算の良い製品を生産することが出来る。
同社はまず、C2系の生産に成功、次いで同じ設備、同じプロセスでC3系の生産に成功した。
ヘキサノール
ヘキセン
はC6系ですよね?
訂正しました。有難うございました。