Dow、ワールドスケールのプロピレン建設を決定

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Dowは3月7日、同社がテキサスに建設するワールドスケールのプロピレンプラントについて、取締役会が詳細設計と工期のかかる機器発注のための資金支出を承認したと発表した。

これは、米国のシェールガスからの低コストの原料を利用してエチレンとプロピレンの能力を増強するという同社の戦略の一環である。

Dowは2011年4月に、エチレンとプロピレンの能力増強を発表した。

米国北東部のMarcellusや南テキサスのEagle Ford などのシェールガスから価格面で競争力のあるエタンとプロパンを確保する目処がついたとしており、これらのシェールガスから長期契約でエタンとプロパンの供給を受けることにより、同社のPerformance Plastics、Performance Products、Advanced Materials などの事業の競争力を強化する。

エチレン能力の増加を230万トン、プロピレン能力の増加を90万トンとした。

エチレン
 ・停止していたルイジアナ州St. Charles のエチレンクラッカーを2012年末までに再開
 ・ルイジアナ州Plaquemineのエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2014年)
 ・テキサス州のエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2016年)
 ・メキシコ湾岸に新しいワールドスケールのエチレン設備の建設(2017年)

プロピレン
 ・テキサス州に新しいワールドスケールのプロピレン製造設備の建設(2015年スタート)
 ・自社の新技術を使って、プロパンからプロピレンを製造する計画の検討(2018年製造開始)

 2011/4/26 ダウ、エチレンとプロピレンの拡張計画を発表 

今回の決定はテキサス州Freeportにプロパン脱水素により新しいプロピレンプラントを建設するもので、2015年の生産開始の予定。

付記
Dowは4月19日、エチレンプラントを
Dow Texas Operations in Freeport, TXに建設すると発表した。
2017年のスタートを予定。

2011年12月に UOP LLCとの間で技術供与契約を締結した。
UOP C3 Oleflexプロセスを導入して、プロパンからプロピレンを生産するもので、UOPとは触媒購入契約と性能保証契約も締結した。

なお、2017年稼働を目指す新しいワールドスケールのエチレンプラントについては、2011年10月にFSを開始しており、4月に立地を発表する。Liveris CEOが3月8日に明らかにした。

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DowのAndrew Liveris CEOは3月8日、エネルギー関連の調査機関が主催する年次会合CERAweek でスピーチし、シェールガスからのLNGの輸出を制限するよう求めた。

概要は以下の通り。

Dowはこれまで安いエネルギーを求めてサウジなど海外で石化事業を拡大してきた。
しかし、米国
の豊富で安いシェールガスの出現で、Dowは再び米国での投資を始めた。
10年ぶりに新しいエタンクラッカーを建設するとともに、米国の施設をリフレッシュする。

安い原料による圧倒的な競争力の維持は、米国経済にとって絶好の機会となる。
しかし、アメリカのこの安く豊富なガスの産業での有利性は、首尾一貫した国のエネルギー政策をつくらなければ消えてしまう。これを失ってはならない。

天然ガスを輸出する代わりに、液体形態ではなく、これを加工した固体形態で輸出するべきだ。
天然ガスからプラスチック、肥料、その他化学製品に加工して輸出すれば、LNGで輸出するよりも8倍もの価値を生む。

 

参考 2012/2/24 米国からのLNG輸入問題 

 

 

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