サンフランシスコの連邦陪審院は2月8日、中国国営の大手鉄鋼メーカーの攀鋼集団(Pangang Group)とその子会社3社及び米企業1社を、商業機密窃取の疑いがあるとして起訴した。
また中国系アメリカ人夫婦2人、デュポン前職員2人が起訴された。
今回起訴されたのは以下の通り。
攀鋼集団、子会社の攀鋼バナジウム、攀鋼集団バナジウム業、攀鋼集団国際経済貿易有限公司
USA Performance Technology Inc. (Walter Liewの経営していたコンサルタント会社)
Robert J. Maegerle(元DuPont社員)
Tze Chao(同上)
Walter & Christina Liew(夫婦、USA Performance Technology)
中国系アメリカ人夫婦が2人のDuPont元社員からDuPontの二酸化チタンに関する商業機密を手に入れ、攀鋼に売却した疑いがもたれている。
Liewの貸金庫にあった書類には、Liewは1991年に中国政府の役人から中国で二酸化チタン工場を建設するための技術の取得を依頼されたと書かれている。
検察側はLiewと会った中国人の一人は中国共産党の高官で、その後政治局入りをしていることを明らかにした。
DuPontはこの事業で70年の経歴があり、世界シェアの20%を占める。
同社の塩素法は他社の硫酸法に比べると廃棄物もエネルギー消費も少ないのが特徴。
検事は論告で、中国は二酸化チタンの能力が不足しており、この技術の確保が経済的にも科学的にも必要であるが、DuPontが中国にライセンスする気がないため、中国政府はこれを盗もうとしたとしている。
1998年に Maegerle は二酸化チタン製造プラントの設計に必要なプロセスや機器などのDuPontの秘密情報を Liew に渡した。
2005年にMaegerleはDuPontの塩素法プロセスに関する秘密情報を送った。
2008年にMaegerle、Liew、Tze Chaoは攀鋼集団に、中国で年産10万トンの二酸化チタンのプラントを建設するための資料を送った。
起訴された4人のうち、Tze Chaoは秘密情報を攀鋼集団に渡したことを認め、司法への協力に応じた。
しかし、Liew夫妻とMaegerleは容疑を否認している。
攀鋼集団側の弁護士も出廷したが、米国の司法が中国企業を裁くことは出来ないと主張、司法権についての争いのためだけの出廷だとしている。
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DuPont に関しては、同社の有機ELに関する企業秘密を盗んで母校の北京大学に持ち帰ろうとしたとして中国生まれの研究員Hong Mengが2010年10月に禁固14か月となっている。
2009/9/12 DuPont、産業スパイを摘発
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