JX日鉱日石エネルギーは3月14日、豪州子会社(JX Nippon Oil & Energy)とXstrata Coalが、カナダ西部British Columbia州のPeace River 炭田において原料炭合弁事業を開始したと発表した。
JXはXstrata CoalからXstrata Coal British Columbia Group の持分の25%を435百万米ドルで取得した。
Xstrataは持分の75%を保有し、本JV鉱区の開発、操業および運営を行う。
Xstrata Coal British Columbia Group は下記の互いに隣接する原料炭権益を100%保有している。
・First Coal Corporation
2011年8月にXstrataが147百万カナダドルで元のオーナーから買収した。
・Lossan石炭権益
Xstrataが2011年10月にCline Mining から40百万カナダドルで買収した。
・Sukunka hard coking coal deposit
Xstrata が2012年3月8日にTalisman Energyから500百万米ドルで買収したばかり。
(これらの買収額からだけ計算すると、JXの25%の持分の買収額435百万米ドルは非常に高い)
JXエネルギーはFirst Coal所有鉱区およびSukunka鉱区から産出される原料炭の日本向け総販売代理店を務める。
調査が先行しているスクンカ鉱区(確定および推定資源量が2.36 億トン)およびススカ鉱区(旧ロッサン石炭権益と近接するファースト・コール所有鉱区の一部を統合した、より大規模な露天掘りプロジェクト、資源量はロッサンだけで2.4億トン程度)は、あわせて年に950 万トンの生産が可能との技術調査結果が出ている。
産出される石炭の大部分は強粘結炭(コークスの主原料)が占め、一部はPCI 炭(高炉製鋼において微粉炭吹込に用いられる石炭)となる見込み。
ススカ鉱区に統合した鉱区を除くファースト・コール所有鉱区は本格的な探査開始に向けた準備中。
JXでは、従来の電力会社向けを中心とした一般炭事業に加えて、鉄鋼生産に不可欠とされる製鉄会社向け原料炭事業へも本格的にその領域を拡大するものとしている。
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Xstrataは主要鉱物資源の大手生産者で、スイスに本拠を置き、世界20 カ国に亘り、100 以上の事業及びプロジェクトを展開している。
銅、一般炭・原料炭、フェロクロム、亜鉛およびニッケルの生産に関しては世界で五指に入る。
銀、鉛、プラチナ、金、コバルトおよびバナジウムも生産している。
本年2月7日に、同じくスイスの商品取引最大手Glencore Internationalは、Xstrataを391億ポンド(約4兆7400億円)で買収し、対等合併すると発表した。
但し、Xstrataの一部株主が、Xstrataの価値を過小評価しているとして反対している。
2012/2/9 スイスの資源会社Glencore InternationalとXstrataが合併
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JX日鉱日石エネルギーはこれまでに、豪州とインドネシアで石炭事業に参加している。
1)豪州
Xstrata Coal とのJVで15.2%を出資するOakbridge Pty Ltd を通じて、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のBulga炭鉱に13.3%の権益を保有しており、ここで生産される一般炭を日本の電力会社などに販売している。(2010年度の国内需要家向け納入実績は750 万トン)
バルガ炭鉱は、露天掘と坑内掘の2つの炭鉱および選炭工場を持つ年産約1,100万トンの大規模な炭鉱で、可採埋蔵量3億トン以上、可採年数20 年以上となっている。
JXは1990年に同炭鉱の権益を持つOakbridgeに資本参加した。
他に、豊田通商、JFE商事、新日本製鉄が参加している。
2)インドネシア
2011年6月にインドネシア・西パプア州に炭鉱を保有するPT.Horna Inti Mandiriの株式の5%を取得し、生産される石炭の日本向け販売権も獲得した。
ホルナ社の保有する炭鉱は、インドネシアのパプア地域で最初に開発される炭鉱で、高カロリーかつ低灰分の極めて高品位な石炭の産出が見込まれている。
炭鉱面積は約6300haで資源量は1億トン程度と見込まれている。出荷開始は2012年で、当初は年100万トン程度を予定している。
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