三井化学は2月28日、SABICとの間で、ポリウレタン原料のTDIとMDIの製造技術ライセンス供与契約を締結するとともに、将来の事業提携の検討を行うことに合意したと発表した。
これらを含めたウレタン事業の再構築を行う。
1. ライセンス契約
ライセンス対象技術:TDI及びMDI製造技術
契約締結日:2012年2月26日
プラント運転開始時期:2016年(予定)
立地:Al-Jubail地区
範囲:TDI トルエンからの中間体(DNT,TDA,ホスゲン)を含む全ての製造技術
MDI ベンゼンからの中間体(ニトロベンゼン,アニリン、MDA、ホスゲン)を含む全ての製造技術
SABICはTDIとMDIの能力や建設費、ポリウレタン計画の概要について、明らかにしていない。
2. SABIC社との事業提携検討
三井化学とSABICはウレタン事業における提携を検討することに合意した。
SABICは、今後三井技術により世界で最も競争力のあるTDI及びMDIプラントの建設に向けた基本設計を開始する。
三井化学はSABICとの事業提携の検討を行い、2013年度を目途に合弁事業への参画を含めた提携を決定する。
日本経済新聞(2月28日付)は、以下の通り述べている。
新設プラントの年産能力は30万~50万トンで世界最大規模になるとみられる。総事業費は1000億円を大きく超える見通し。
3.三井化学のウレタン事業再構築
三井化学は自社の事業と武田薬品の事業を統合し、三井武田ケミカルとした後、三井化学ポリウレタンと改称、
2009年4月1日に吸収合併した。
PPG(ポリプロピレングリコール)は中長期的には国内需要が漸減するものと見込まれる。
このため、千葉ポリオールでのPPG生産を2012年6月をもって停止する。
TDI及びMDIは、既存の拠点とサウジの新プラントで最適生産体制を取り、
将来的には海外拠点からの供給をメインにする。
三井化学グループのポリウレタン材料生産能力(2012年2月現在 単位:t /年)
TDI MDI PPG 大牟田工場 旧 三井 120,000 60,000 - 鹿島工場 旧 武田 117,000 - - 錦湖三井化学
(韓国)錦湖石油化学50% - 155,000 - 名古屋工場 旧 三井 - - 57,000 徳山分工場 旧 武田 - - 50,000 千葉ポリオール 日本曹達10% - - 28,000 (注)錦湖三井化学は2013年1月に200,000t/年
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SABICは2010年11月に機能性化学品への進出の一部としてポリウレタン事業への進出計画を明らかにした。
既にFSを実施しており、技術導入に関して数社と協議を行っているとしていた。
サウジアラビアは最終的にはサウジでの自動車生産を考えており、SABICはその際には原料を供給できる体制を作っておくというもの。
ポリウレタン事業への進出はこの一環。
PCについてはSABICが出資するSaudi Kayan Petrochemical がAl-Jubailで生産を開始している。
2006/7/5 新しいサウジ石化計画スタートへ
SABICは2011年5月には、天津のSinopecとの50/50JVのSinopec SABIC Tianjin Petrochemical PCを生産すると発表した。
2011/5/26 SABICとSinopec、天津でポリカーボネート生産
SABICはまた、ポリアミドへの進出にも関心があるとしていた。但し、既にサウジで下記のポリアミド計画が進行中で、2つは要らないとしている。
Saudi Industrial Investment Group (SIIG) とArabian Chevron Phillips Petrochemical Company Limited (ACP)は2010年6月、Polyamide 6,6プラント建設と、多くのポリマー加工計画を発表した。
ポリマー加工計画には、高機能ポリエチレンパイプ、灌漑用製品、使い捨て医療用品、ポリアミドコンパウンド、電気器具、自動車部品などが含まれる。
Jacobs Engineering Groupは、2010年12月に本計画の設計・購買・建設管理契約を締結した。
SIIGとChevron Phillips はサウジにSaudi Chevron Phillips Petrochemical、Jubail Chevron Phillips、Saudi Polymers 3つのJVを持っている。
2008/1/25 Chevron Phillips のサウジ石化事業
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