旭化成は3月12日、米国の救命救急医療機器大手であるZOLL Medical Corporationを買収することで合意したと発表した。
買収金額は総額約22.1億米ドル。
ZOLLは生命蘇生技術をコアテクノロジーとした会社で、米国の体外除細動器市場では強固な事業基盤を保有している。
着用式除細動器「LifeVest」や体温マネージメント機器「Thermogard」等の革新的医療機器で事業拡大を図るとともに、欧州、アジアへの拡大を進めている。
ZOLLは1980年にDr. Paul M. Zoll など3人が設立した。
Dr.Zollは1952年に Beth Israel Hospitalの心臓病クリニック長の時に、心拍停止時に外部からの電気刺激が効果を生むことを見付けた。2011年度の売上高は5億2370万ドル、営業利益は4820万ドル。
旭化成は既に2011年8月から、日本での事業強化を模索していたZOLLとの協業の第一弾として AED(自動体外式除細動器)「ZOLL AED Plus」の販売を開始するとともに、ZOLLの日本における薬事コンサルタントおよびマーケティングを引き受けている。
今般、今後の両社のさらなる協力関係の強化について協議した結果、本買収の合意に至った。
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旭化成は2011年4月にグループ総合力の結集と融合を目指す「これからプロジェクト」(環境・エネルギー、住・くらし、医療の3領域)を立ち上げた。
医療関連分野については、次世代の中核事業領域と位置付け、グローバルな成長戦略を推進している。
同社のヘルスケア事業は2つの領域により構成されている。
①泌尿器・骨領域・血液疾患等の医薬事業
骨粗しょう症治療剤「エルシトニン」、「テリボン」
排尿障害改善剤「フリバス」錠
抗うつ剤「トレドミン」(日本で初めて開発されたセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)
血液凝固阻止剤「リコモジュリン」(世界初の遺伝子組み換え型卜ロンボモジュリン製剤)
診断薬
②透析等の血液浄化関連、バイオプロセス関連の医療機器事業
透析 ポリスルホン膜人工腎臓「APS」 (膜分離技術)
アフェレシス(血液浄化療法)
「プラノバ」 世界初のウイルス除去フィルター2009/5/30 旭化成クラレメディカル、米社と透析事業で包括的な事業提携
(旭化成クラレメディカルはその後、旭化成100%となり、旭化成メディカルとなった。)
これらの事業に加え、新たに成長を牽引する事業基盤として、クリティカルケア(救命救急医療)分野に絞り、参入の機会を模索していた。
今後、ZOLLの成長戦略の実現および加速のために必要な資源投入を図る。また、M&Aを含め積極的な戦略的投資を行う。
なお、買収に伴うノレン代は1500億円程度となり、同社では20年で償却する方針としている。
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