同省によると、元技術者のKurt Mix容疑者は、当時のBPの発表よりもはるかに多い原油が流出したことを示すメッセージ300通以上をiPhoneから消去した疑いが持たれている。
Clean Water Actでは、原油の流出量1バレルに対して1,100ドルの罰金(重大な過失による場合は、4,300ドル)が決められている。
政府は410万バレルが流出したと見ており、重大な過失であれば、罰金は176億ドルにもなる。
BPでは流出量を320万バレルとし、重大な過失なしとしてバレル1,100ドルを適用し、35億ドルを引き当てており、現在政府と交渉中。
Mix容疑者はBPの掘削・仕上げのプロジェクトエンジニアで、流出量の見積もりと漏出停止作業の担当をしていた。
2010年10月4日頃Mix容疑者は、BPの弁護士が電子情報を集めると知り、200通以上の上司との通信メッセージを抹消した。
また、8月19日頃に、Mix容疑者はBPのコントラクターとの間の流出量に関する100以上のメッセージを抹消した。
BPはMix容疑者に対し、携帯のメッセージを含め、事故に関するすべての情報を保持するよう、何度も通知していた。
起訴されると、禁固20年以上で、罰金が1件につき25万ドルの可能性がある。
当局は今後、BPとその従業員が原油流出量について意識的に少なく見せようとしたとみて調べる。
Mix容疑者が会社からデータの消去を指示されたのか、誰かと共謀したのか、などが問題となる。
2012年1月に退職して会社に対するロイヤリティが少ないMix容疑者を最初に逮捕したのは、司法取引に持ち込んで彼から会社や他の社員についての情報を得ようとする検察側の作戦と見られている。
司法省では、Mix容疑者は井戸からの流出量がBP側が公表しているよりもはるかに多いことを認識していると示唆した。
また、BPが2010年5月に失敗したTop Kill
(漏れている箇所に泥などを流し込んで原油を封じ込める)実施に際し、BPの内部データや通信メッセージでは失敗を予想していたのに、楽観的な発表をしたと述べた。
Top Kill 開始の5月26日に、Mix容疑者は上司への送信で、 "Too much flowrate - over 15,000."(日量15千バレル以上が流出)と報告した。これはBPの発表5千バレルの3倍で、15千バレル以上の場合はTop Kill で処理できないと見られていた。
初日の終わりにMix容疑者は、15千バレル以上の流出で開口部は大きすぎると報告した。
しかし、BPはTop Kill は計画通り進んでいると発表した。
5月29日になってTop Kill は中止され、BPは失敗を発表したが、翌日の株価は約15%下落した。
株価の下落で損をしたとBPを訴えた投資家は、BPが株価下落を防ぐため流出量を低く評価したと主張している。
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司法省のDeepwater Horizon Task Forceは現在も爆発の調査を行っており、法に違反する行為があったかどうか、誰に責任があるのかを明らかにしようとしている。
なお今回の逮捕は、先日合意に達した漁業関係者・清掃業者・ホテル・不動産会社など10万以上に及ぶ原告との78億ドルの和解の動きには影響を与えない。 連邦地裁のCarl Barbier判事は5月2日、和解案を仮承認し、最終承認のための公聴会を11月8日に設定した。
付記
これには、米国政府などからの請求(Clean Water Act による罰金やOil Pollution Actによる自然資源損害によるもの)や州や地方自治体からの請求、別の併合審理手続きによるもの、その他は含まれていない。
2012/3/5 BP、メキシコ湾岸原油流出事故で漁業関係者などと和解
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