三井化学大竹工場で爆発事故

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4月22日午前2時15分ごろ、山口県和木町和木6丁目の三井化学・岩国大竹工場のレゾルシンプラントで爆発事故が発生した。
8時06分にも同プラントのタンクが爆発した。
同日17時15分に全プラント鎮圧を確認した。

爆発の3時間近く前の21日午後11時半ごろ、蒸気を供給する設備にトラブルがあり、構内の7割のプラントが緊急停止に入った。

爆発が起きたレゾルシンプラントでは、作業員が約30メートル離れた計器室で停止のために自動弁の開閉や窒素の注入などを始めるボタンを押した。その後、死亡した従業員がプラント内に入り、完全に停止させるために手動でバルブを閉める作業などに当たっていたとみられる。

同社では、「爆発は酸化過程に出る過酸化物が影響した可能性がある」が、タンク内で爆発したのか、タンク外に何かの原因で可燃性物質が漏れて爆発につながったのかなどは「調査してみないと分からない」としている。

付記

田中稔一社長は「社内の事故調査委員会の結果を踏まえて、徹底して対応する」と話した。

1984年にも同じプラントで爆発事故(静電気による発火が原因で負傷者なし)が起きていることから、警察は事態を重くみて、23日に業務上過失致死傷の疑いで工場などを捜索した。詳しい経緯を調べる。

被害は次の通り。(4月22日19時時点)

    人的被害 物的被害
死亡 負傷
構内 1名 9名(うち重症 2名) 損傷 14プラント
隣接JX 麻里布製油所   2名  
地域住民   10名 家屋損傷 267軒(主にガラス破損)
合計 1名 21名  

可燃性ガスや毒性物質などの漏出はないという。

 

付記

三井化学は6月14日、この事故の業績への影響見通しを発表した。

営業利益  30億円 生産・販売の減少及び代替品の調達による損失等
特別損益  -30億円 補償、撤去及び復旧等に係わる費用
事故に起因するプラント停止に伴う固定費及び保険収入等
税引前損益  -60億円  

 

岩国・大竹工場は小瀬川を挟んで山口、広島両県にまたがって立地している。爆発が起きたのは川の南側にある山口県内の工場。

 

 

中国地方では2011年11月に東ソー南陽事業所(周南市)で1人が死亡する爆発事故が起きたばかり。
EDCプラント不具合が生じ稼働を停止、点検中で、塩ビモノマーなどを貯蔵タンクに一時抜き出す移液作業をしていた。

総務省消防庁は4月23日、大規模なコンビナート群がある全国33道府県に対し、事業者に再発防止策を指導するよう求める通知を出した。同様の通知は、2007年12月の 三菱化学鹿島事業所で起きた火災以来。
通知では「緊急停止作業を行う際には、作業手順の確認を行い、作業に携わる者全員に周知徹底を図ること」とした。

 
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レゾルシンはタイヤ補強材(タイヤコード)の接着原料や紫外線吸収剤などに使用される。

世界需要は約6万トン。


 

メーカーは以下の通り。

 

能力

 
住友化学  30,000トン 千葉2万トン、大分1万トン(2010/4 新設)
INDSPEC Chemical 20,000トン Occidental Petroleum子会社
Petrolia, Pennsylvaniaに工場
三井化学 7,600トン 岩国大竹
その他 約2千トン インド、中国など
(ロシアメーカーは操業中止)
合計 約6万トン  


住友化学と三井化学はプロピレン、ベンゼンを原料とし、1,3-diisopropylbenzeneから製造している。
これに対し、INDSPECは1,3-benzenedisulfonic acid から製造する。

その他ではインドのAtul が能力1500トンで、5000トンへの増設を希望している。
中国に小規模メーカーが数社あると言われる。
以前にはロシアの Orgsintez が生産していたが、2007年に停止した。

 

付記

住友化学は4月24日、三井化学から要請のあったレゾルシンの応援出荷に応じる方針を明らかにした。

需給バランスは国際的にも堅調で、現在千葉と大分の両工場ともフル操業状態のため「増産による対応は難しいものの、当面、在庫を切り崩して応援出荷することにした」という。

 

 

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