自然エネルギー買取価格

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政府が2012年7月から始める自然エネルギーの新たな普及制度で、電力会社の買取価格がほぼ決まった。

経済産業省の第三者組織「調達価格等算定委員会」が4月25日の会合で、電力会社による買取価格案を議論し、終了後に委員長案を発表した。
同委員会は27日に再度議論し、枝野経産相に買い取り価格と期間を報告する。
国民からの意見聴取などを経て、経産相が最終決定する。

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2009年2月に当時の自民党の二階経済産業大臣が太陽光発電に関する新たな買取制度の新設構想を明らかにした。
太陽光発電導入が促進できるように、電気事業者が10年程度にわたり、(当初は)当時の2倍程度の価格で買い取る仕組みを考えているとした。

2009/3/3 太陽光発電に関する新たな買取制度の創設へ

民主党政権に代わり、2011年の震災当日の3月11日午前に再生エネルギー法案を閣議決定した。
同法案は
与野党協議を経た修正案が8月23日の衆院経済産業委員会で可決され、同日中に衆院を通過、参院審議を経て8月26日に成立した。

2011/6/24 再生可能エネルギー法案 

原案では「買い取り価格は経産相諮問機関が決定」となっていたが、修正の結果、「調達価格等算定委員会(国会同意人事)の意見を聴取して決定」となった。

委員は以下の通り。
 委員長
  植田 和弘  京都大学大学院経済学研究科教授
 委員長代理
  山内 弘隆  一橋大学大学院商学研究科教授

  辰巳 菊子  公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会理事・環境委員長
  山地 憲治  公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)理事・研究所長
  和田 武  日本環境学会会長

当初の国会同意人事案では、再生可能エネルギーの普及を阻んできた3名(うち1名は経団連地球環境部会長)が入っているとして反対が広がり、1名が差し替えとなった。
 このため、発足が遅れ、第一回会合は本年3月6日となり、短期間での決着となった。

ーーー

今回の委員長案は以下の通り。

太陽光発電のうち、住宅用に相当する10kw未満については、全量買い取り方式ではなく、現行の「余剰電力買い取り制度」を維持する。これのみ、消費税非課税となっている。

   kw当たり

税前
利益率
 IRR

買取価格(円) 買取期間

建設費

年間
維持費

税込み 税抜き
太陽光 10kw以上 32.5万円 10千円 6% 42.00 40 20年
未満
≒家庭用
46.6万円 4.7千円 3.2% 42.00 42 10年
風力 20kw以上 30万円 6.0千円 8% 23.10 22 20年
未満 125万円 1.8% 57.75 55
地熱 1.5万kw以上 79万円 33千円 13% 27.30 26 15年
未満 123万円 48千円 13% 42.00 40
中小水力 1000kw~
30,000kw
85万円 9.5千円 7% 25.20 24 20年
200kw~
1000kw
69万円 69千円 7% 30.45 29
200kw未満 100万円 75千円 7% 35.70 34
バイオマス メタン発酵ガス化
 ・下水汚泥
 ・家畜糞尿
392万円 184千円 1% 40.95 39 20年
未利用木材 41万円 27千円 8% 33.60 32
一般木材
(パーム椰子殻含)
41万円 27千円 4% 25.20 24
廃棄物系(除木質)
 ・一般廃棄物
 ・下水汚泥
31万円 22千円 4% 17.85 17
リサイクル木材 35万円 27千円 4% 13.65 13



買取価格は、「価格は一貫してヒアリングを通した費用を積算し、IRRで事業リスクを発電ごとに個別で見る考え方で決定し、諸外国との比較を行っている。高くもなく低くもなく、施行後3年間は例外的に利潤を高める、という意図を反映した価格」(植田委員長)とした。

付記 欧州の固定価格買取制度

委員の中には「太陽光は30円代後半でも採算が合う」との声もあったが、再生エネルギー導入を加速させる狙いから高めの設定となった。

ヒアリング結果:http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/pdf/005_02_00.pdf

これに対し、最近の設備コストの低下などを織り込んだ。
  http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/pdf/006_02_00.pdf

買い取り価格は年度ごとに政府が見直す。
制度の適用を受けた場合は、二年度目以降の買取価格の算定のために、設備のコストデータを提供することを条件としている。

業界団体が要望する価格をほぼ受け入れる形になり、民間企業の参入が加速すると見られる。

参考 2011/5/24  孫正義氏の自然エネルギー財団とメガソーラー計画

買い取り価格は電力会社の燃料費に比べて高く、この差額は広く電気料金に上乗せされる。
経済産業省では標準家庭で上乗せ分は月100円未満との見通しを示している。

なお、ドイツでは電気料金に上乗せによる消費者負担が政府の予想を超えて膨らんだため、4月1日以降の設置分について買取価格を引き下げ、太陽光発電の普及を事実上抑制する形に方針転換した。

2012/4/6 太陽電池大手 Q-Cells 破綻




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