2012/3月期決算-総合化学-1(三菱ケミカル、住友化学)

| コメント(0) | トラックバック(0)

三菱ケミカルホールディングス 

営業損益は震災の影響(-193億円)を含め、959億円の大幅減益となった。

昨年度に営業損益が2,265億円となり、信越化学を追い抜いたが、本年度は信越化学(1,496億円)に抜かれた。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2010/3 25,151 663  590 128 4 4
2011/3 31,668 2,265 2,239 836 5 5
2012/3 32,082 1,306 1,336 355 5 5
前年比 414 -959 -903 -481    
2013/3 34,500 1,600 1,480 500 6 6

2011/3月期には特別損失に災害損失 -225億円を計上している。
(12/3月期には -23億円

機能商品分野、素材分野(ケミカルズ、ポリマーズ)では、震災の影響に加え、円高継続と中国など海外市場での急激な需要減少で、厳しい状況となった。 素材分野の損益の振れが非常に大きい。

ヘルスケア分野では堅調な需要に支えられ、ほぼ良好に推移した。

営業損益対比(億円)           
  2010/3 2011/3 2012/3 増減 うち
価格差  数量差  震災
影響
ケミカルズ 69 530 149 -381 -225  -116  -40
ポリマーズ -225 550 254 -296 -112  -131  -59
エレクトロニクス
アプリケーションズ
-14 10 -53 -63 -20  -32  -16
デザインド
マテリアルズ
133 365 240 -125 -46  -90  -11
ヘルスケア 710 851 764 -87 9  43  -65
その他 62 45 61 16 -  18  -2
全社 -73 -86 -108 -23      
合計 663 2,265 1,306 -959 -394  -308  -193
注 エレクトロニクス・アプリケーションズ:記録材料、電子関連製品、情報機材
   デザインド・マテリアルズ:食品機能材、電池材料、精密化学品、樹脂加工品、
                   複合材、無機化学品、化学製品


上記営業損益のうち、ケミカルズとポリマーズの内訳は以下の通り。
2011/3月期から三菱レイヨン(MMAほか)が連結子会社となった。

  2010/3 2011/3  2012/3  増減
ケミカルズ
 (基礎化学品)
 (炭素)
69
(-20)
(89)
530
(313)
(217)
149
(13)
(135)
   -381
(-300)
(-82)
ポリマーズ
 (ポリオレフィンほか)
 (MMA、アクリル樹脂)
-225
(-225)

(  -  )
550
(182)
(368)
254
(-3)
(257)
-296
(-185)
(-111)

ヘルスケアのうち、田辺三菱製薬の業績は以下の通り。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2011/3 4,095 766 767 377 14 14
2012/3 4,072 690 688 390 15 20
前年比 -24 -75 -79 13 1 6
2013/3 4,290 700 700 405 20 20


住友化学

基礎化学品・石油化学と情報電子化学の減益が響いた。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3 18,965 1,024 928 631 6 6
2011/3 19,824 880 841 244 3 6
2012/3 19,479 607 507 56 6 3
前年比 -346 -273 -334 -188    
2013/3 22,300 900 950 400 6 3

特別損失に多額の持分法投資損失を計上するとともに、繰延税金資産も計上した。

特別損失に持分法投資損失 -260億円

23%出資する豪州農薬メーカー Nufarmの時価が大きく下落したため、のれん相当額を一時償却。
2011/3月期中間決算でも特別損失287億円を計上したが、その後株価が回復したため、評価損を取り消している。

繰延税金資産 115億円(当期利益増)

営業損益対比(億円)   本年度から精密化学を廃止
  2010/3 2011/3 2011/3 2012/3 増減  
基礎化学 13    213   206 93 -113 交易条件悪化
販売数量減
石油化学 -2 111   111 62 -50 販売数量減
精密化学 36 1  

・・・・・

・・・・・

・・・・・

 
情報電子化学 63 261   261 110 -152 液晶部材価格低下
健康・農業関連 293 224   233 265 32 販売数量増
医薬品 299 269   287 209 -77 下記
その他 67 58   41 77 36 売電量増加
全社 -254 -258   -260 -209 51  
合計 515 880   880 607 -273  

情報電子化学は、偏光フィルム、カラーフィルターの値下がり、円高による在外子会社の邦貨換算の影響が大きい。

 

大日本住友製薬の業績は以下の通り。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
特許権等
償却費
同左
算入前
算入後 中間 期末
2010/3 2,963 -105 461 356 338 210 9 9
2011/3 3,795 -347 657 310 286 168 9 9
2012/3 3,504 -277 481 204 189 86 9 9
前年比 -291 70 -176 -105 -97 -82    
2013/3 3,480 -272 492 220 210 105 9 9

2009年10月に米Sepracor を買収した。(その後 Sunovion Pharmaceuticals と改称)
買収に伴い、特許権(1,197百万ドル)は品目ごとに償却、ノレン(914百万ドル)は20年償却とした。

2011/3月期には武田薬品との間で締結した非定型抗精神病薬の欧州での開発・販売提携に関する契約に基づく契約一時金100億円を売上高、利益に計上している。 当期はその分が減益となった。

営業損益の内訳は以下の通り。

  2011/3 2012/3 増減
日本 682 664 -18
北米 416 274 -142
同 特許権等償却 -347 -277 70
中国 12 10 -2
海外その他 101 70 -31
契約一時金 100   -100
医薬品以外 28 32 4
研究開発費 -682 -569 113
合計 310 204 -106

北米の減益は円高の影響と、2011/2発売の非定型抗精神病薬「ラツーダ」の販売費用増加による。
 


 

 

  

トラックバック(0)

トラックバックURL: https://blog.knak.jp/knak-mt/mt-tb.cgi/1838

コメントする

月別 アーカイブ