米地質調査所(USGS)は米中部地域での地震の急増はシェールガス採掘が関係していると報告した。
水圧破砕法(fracking:液体を地中に注入し天然ガスを抽出)の廃液をdeep well に注入することにより起こされるとみている。
USGSは昨年8月にオクラホマ州の地震について報告書を出したが、それによると、小さな地震が多発したが、ほとんどはfracking 作業が終了して24時間以内に発生した。Deepwellは深さ1~4kmの井戸で、廃液を岩塩層の下に流し込むもの。岩の割れ目を通って地下水中に漏れる化学物質も見られ、問題とされている。
テキサスなどではシェールガス採掘の廃液はDeepwellに投入して処分するが、ペンシルバニアでは地形上これが出来ず、下水処理場に輸送して処理している。
2011年11月に英エネルギー会社Cuadrilla Resourcesは、同社がイングランド地方北西部ランカシャー沿岸で行った水圧破砕法による天然ガスの掘削によって、いくつかの弱い地震が引き起こされた可能性が極めて高いと発表した。
同地域では4月にM 2.3、5月にM 1.5の地震が記録された。同社が委託した外部の専門家チームの調査報告書は、「採掘現場の地質に、操業時に注入された水の圧力が加わるという、珍しい条件が重なったことがこれらの地震の原因」だと している。
今回、USGSは米国地震学会の年次大会での報告で、magnitude
3.0以上の地震が急増していることを明らかにした。
最終報告書は夏に発表される予定。
異常なことが起こっており、地震の多くは産業活動に結びついていると考えている。
2000年までの30年間で米中部地域での地震活動は年平均21回であったが、2009年に50回、2010年87回、2011年134回と急増した。
2001年に始まった増加はColorado-New Mexico の境界のRaton Basinでのcoalbed methane層での地震活動による。
OklahomaではM3以上の地震は、過去50年の年間平均1.2回から2009年には25回以上と急増した。
2011年11月にはM5を超える観測史上最大級を記録した。こんな急増は火山地域以外では過去にないことで、ほぼ確実に人工のものである。
2009年に始まった急増はArkansasやOklahomaの石油とガス生産地域で起こっており、廃液のDeep well への注入に関係するという証拠がある。
Frackingでは水と砂と薬剤をシェール層に注入し、地中の岩を砕いて、閉じ込められている天然ガスを取り出すが、注入された水は回収され、処分される。
地震活動はガスや石油を抽出するプロセスよりも、排水を井戸に流し込んで処分するプロセスで発生する。メンフィス大地震研究情報センターの研究員によると、地下に戻された水が断層の隙間に入り込んで滑りやすくなり、地震が起きやすくなったと考えられる。
なお、これらの人工の地震による被害はほとんど出ていない。
2011年にエネルギー省はfracking の環境影響を調査する委員会を立ち上げたが、委員会は天然ガス業界への環境ガイドラインに、fracking や廃液注入により起こされる地震に関する調査を求めた。
各州ではDeep well に対する新しい規制を検討している。
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なお、EPAは4月17日、ガス井戸からの大気汚染に対する最初の規則を発表した。
NHKのBS世界のドキュメンタリー
「ガスランド ~アメリカ 水汚染の実態~」 では水質汚染の問題に加え、大気汚染の問題も取り上げている。
回収された薬剤入りの水は仮の溜池に保管されているが、池の土手から水が漏れている。
また、溜池から薬剤がどんどん蒸発している。コンデンセートタンクからもガスがもうもうと蒸発しており、大気汚染を起こしている。
天然ガスのパイプラインは途中でガスを放出している。
2011/8/8 「ガスランド ~アメリカ 水汚染の実態~」
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