ブリヂストンは、「持続可能な」社会の実現に向け、再生可能原料のみを使った理想のタイヤ技術を目指すことを明らかにした。
同社の会長がWorld
Rubber Summit 2012 で「100%サステナブルマテリアル化」に向けた取り組みについて講演した。
ブリヂストンの環境長期目標は以下の通り。
「100%サステナブルマテリアル化」に向けた具体的なアクションは以下の通りで、
①原材料使用量の削減
②資源循環、効率的活用
③再生可能資源の拡充・多様化による非再生資源ゼロを目指す技術
により、何もしなければ増加する資源使用量を地球の自浄能力・扶養力ライン以下に抑える。
「再生可能資源の多様化・拡充」の取り組みは以下の通り。
1)新しい再生可能資源に『拡げる』取り組み
①天然ゴム生産地域の多様化
熱帯での天然ゴム資源に加えて、乾燥帯や温帯で育つ天然ゴム資源となる植物を栽培し活用する。
例 グアユール(guayule) :
米国南西部からメキシコ北部の乾燥地帯が原産の低木
幹部などに天然ゴムを含む。
ロシアタンポポ(Russian Dandelion) :
カザフスタンおよびウズベキスタン原産の多年草
根部に天然ゴムを含む。
②タイヤ用補強繊維で植物由来繊維の多様化・拡充
現在は、ポリエステルやナイロンなどの原油由来と、レーヨンのような植物由来の繊維を使用。
「新セルロース繊維」の実用化に向けた取り組みをスタート、植物由来繊維の供給性を大幅に向上させる。
2)化石資源を再生可能資源に『換える』取り組み
①バイオマス由来合成ゴムの開発
バイオエタノール由来のブタジエンを用いた合成ゴムなど
②バイオマス由来カーボンブラックの開発
植物油脂類を原料油として用いたカーボンブラックなど
③バイオマス由来新規ゴム配合剤の開発等
糖質からのバイオエタノール、植物油脂類からの脂肪酸、木材からのセルロース・リグニンなど、バイオマスから得られる基本化合物から新規に高性能ゴム材料を開発
付記
ブリヂストンは5月31日、味の素からバイオマスから生成したイソプレンの提供を受け、合成ゴムの重合に成功したと発表した。
両社は2011年6月に新しいゴム原料及びそれを用いた合成ゴムの共同開発についての共同研究契約を締結し、研究を行ってきた。
今回、材料にバイオマスを使用、味の素が発酵技術を活用してイソプレンを生成、これをブリヂストンが同社の重合触媒技術を使って、合成ゴム〔高シスポリイソプレン〕の重合に成功した。
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