経産省は日本の10電力の2006~2010年度の販売電力量、電気事業による売上高と利益を発表した。
5年間の平均では、全国平均の販売電力量は家庭向けが38%(3362億kwh)、工場など企業向けが62%(5564億kwh)で、売上高はそれぞれ49%(7兆2006億円)、51%(7兆5589億円)だったが、利益は家庭向けが69%(4329億円)、企業向けが31%(1962億円)と逆転した。
企業向け電力の少ない沖縄電力のみ、電力量と収益は見合っているが、他の電力会社は全て逆転している。
東京電力については、電力供給量と利益の逆転現象は劇的である。
家庭向けは電力量で38%、事業収入で49%であるのに対し、収益では91%も占める。
東京電力は5月23日、電気料金審査専門委員会で、企業向けの電気料金を公表した。
家庭向けと企業向けとの価格差は2倍程度ある。
企業向け上位10社平均 11円80銭/kwh 家庭向け平均 23円34銭/kwh
東電によると、大口顧客10社は夜間電力の使用が中心で、昼間の電力は自家発電で賄っているため、割安になっているという。
東京電力の場合、2007年7月の新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所の停止が影響している。
この結果、天然ガス使用増によりコストがアップした。
家庭用は総括原価主義によりコストが上がれば電気代が上がるが、企業向けは他社との競合がありコストアップを転嫁しにくいとしている。
東電管内は、ガス会社や石油元売りなどが特定規模電気事業者(PPS)として電力小売りを手掛けており、大口向け市場は比較的、競争が激しい。
東電ではまた、家庭向けの送電設備の投資を節約した(家庭用のコストダウン→利益増)ともしている。
電力会社は企業との間で、電力が足りなくなりそうな場合に節電に協力することを条件に料金を割り引く契約需給調整契約も結んでいる。
付記
電気料金審査専門委員会の資料が公表され、2007年7月の新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所の停止の影響が明らかになった。
事業収益の年度別推移は以下の通り。
この間、家庭向け販売電力量は37~39%で変わらないが、利益は地震前の53%が2009-10年度は63%に上がっている。
(2007-2008年度は大口向けの利益がゼロ~マイナス)地震前の2006年度でも、家庭向けは電力量が37%に対し、収入は48%、利益は53%と逆転していることには変わりはない。
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東京電力は7月1日からの家庭向け電気料金の値上げを申請したが、枝野経済産業相は5月11日の閣議後会見で、この日に設置した専門家による「電気料金審査専門委員会」で値上げの妥当性を厳しく検証すると表明した。
値上げの根拠の妥当性を客観的に判断するのが目的で、東電が十分にコスト削減努力をしているかなどを精査する。
上記の数値はこの委員会に出された。
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