韓国知識経済部は6月19日、韓国の企業連合が世界最大のリチウム保有国であるボリビアから、日本、フランス、中国を抜いて、リチウム関連事業権を獲得したことを明らかにした。
韓国鉱物資源公社や製鉄会社Poscoなどが参加している韓国コンソーシアムと、ボリビア国営鉱業公社(COMIBOL)の合弁会社が、世界最大規模のリチウム埋葬地域であるウユニ塩湖周辺に工場を建設し、2014年から正極材の生産を開始することに合意した。
来月中旬、最終契約を交わす予定。
正極材は、負極材や電解液、分離膜と共に、リチウムイオン電池の生産に欠かせない4つの基幹材料のうち最も重要なもの。
合弁会社の持分は以下の通り。
COMIBOL 50% 韓国
コンソーシアムPosco 25% LG商事 5% キョンドン 5% ユニオン 3% アジュグループ 3% 鉱物資源公社 9% プロジェクトマネジャー
ボリビア政府は、自国のリチウム開発事業を3段階に分けて進めている。
第1段階 ウユニ塩湖からリチウムを抽出
第2段階 不純物を除去して炭酸リチウムを作る
第3段階 炭酸リチウムからリチウムイオン電池を作る
今回交わされた本契約は、このうち、第3段階の作業に必要な正極材を生産するのがポイントとなっている。
ボリビアのピメンテル鉱業・金属相は2010年11月、リチウムの共同開発のパートナー国の選定については、国内のリチウムイオン電池の生産が条件となると明言している。
POSCO傘下の浦項(ポハン)産業科学研究院(RIST)が、通常1年はかかるリチウム抽出期間を1ヵ月以内へと大幅短縮する技術を開発し、本年2月、ボリビアの増発資源総局長に対して実演を行い、
これが高く評価され、逆転勝ちを上げることができた。
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世界のリチウム鉱の2007年の生産量と埋蔵量は以下の通り。(含有リチウム換算)
生産量 確認可採
埋蔵量確認埋蔵量 チリ 9,400トン 3,000千トン 3,000千トン ボリビア ー - 5,400 ブラジル 240 190 910 アルゼンチン 3,000 na na 中国 3,000 540 1,100 米国 非公表 38 410 カナダ 710 180 360 ポルトガル 320 na na ロシア 2,200 na na ジンバブエ 600 23 27 合計 25,000 4,100 11,000
ボリビアのリチウムの開発をめぐり、日本、韓国、フランスが争っていた。
韓国鉱物資源公社(Korea Resources Corporation)は2009年4月、ボリビアでのリチウム鉱開発共同推進のため、ボリビア国営鉱業公社(COMIBOL) とMOUを締結したと発表した。
これとは別に、ボリビアのMorales大統領は2009年4月、フランスのBollore Group とリチウム開発事業の交渉を始めると述べた。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、住友商事、三菱商事、経産省、日本貿易保険、国際協力機構ボリビア事務所長からなる官民合同ミッションは、2009年6月、エチャス鉱山冶金大臣と面談し、ウユニ塩湖のリチウム資源開発をJOGMECを含む日本の関係企業と共同で行い、これに対して関連する政府関係機関が様々な支援を行うことの重要性と、その具体的進め方につき日本側の考え方の説明を行った。
2009/5/5 韓国鉱物資源公社、ボリビアでリチウム鉱開発へ
ボリビアのモラレス大統領は2010年8月、韓国を国賓訪問した。
日本はモラレス大統領の日本訪問を推進したが、鳩山首相の退陣で訪日は白紙になった。
李大統領は、韓国政府が2014年までに2億5000万ドルの対外経済協力基金借款をボリビアに支援し、翌年度の経済発展経験共有事業の対象国にボリビアを含める案を、積極的に検討する考えを示した。
両首脳は会談終了直後、韓国鉱物資源公社とボリビア鉱山公社の「ウユニ塩鉱山の蒸発資源産業化研究開発に関する了解覚書」締結式に立ち会った。
モラレス大統領は訪韓中、LG化学研究所を訪問し、韓国の最先端リチウムイオン電池生産技術を見学した。
2010/8/27 韓国とボリビア、リチウム開発で覚書
韓国鉱物資源公社とPOSCOのコンソーシアムは2011年7月、COMIBOLとリチウムバッテリー事業推進のための合弁会社を設立する覚書を締結した。
2011/8/3 韓国がボリビアでリチウム電池事業
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