JNC、リチウムイオン二次電池用負極材料及び電極の共同開発契約を締結

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チッソの事業会社のJNCは7月3日、フランス原子力庁(CEA)の新エネルギー技術研究部門(LITEN) と自動車用リチウムイオン電池に使用される負極材料および電極の共同開発を開始すると発表した。

リチウムイオン二次電池の負極材料には一般的にグラファイト(黒鉛)などの炭素材が使用されるが、その物性から電池容量とエネルギー密度に限界があるために、これらを解決する新規材料の開発が強く望まれている。

このため、JNCはLITENとの間で、最先端のシリコン系負極材料およびそれを用いた電極の共同開発契約を締結し、開発を推進する。

LITEN ホームページではナノ構造のSi-C compounds に焦点を当てた研究をしているとしている。
なお、正極材では boron-doped LiFePO4 component の特許を取り、開発を進めている。

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JNCは、環境・エネルギー分野を新規事業ドメインとして位置づけており、その1つとしてリチウムイオン二次電池用部材の分野での開発を進めている。

2010年9月には、チッソ(当時)は正極材市場に進出することを決定し、ドイツのH.C. Starck GmbHと合弁会社を設立した。

H.C. Starckはタングステン、モリブデン等の希少金属の粉末及びコンパウンドセラミック粉末、エレクトロニクス用スペシャリティケミカル等のメーカーで1986年にBayerグループに入った。

Bayerは2006年に投資会社の Advent International Carlyle Group に売却することを決め、2007年2月に売却を完了した。

2006/12/2 Bayer、子会社 H.C. Starck を売却

合弁会社は CSエナジーマテリアルズで、チッソ 51%、Starck 49%の出資。
両社のノウハウと生産技術を併せ、リチウムイオン二次電池正極材の製造販売、研究開発を推進する。

2012年5月にJNCの水俣製造所にセミコマーシャルプラントを完成し、9月には運転を開始する。

JNCはまた、市原製造所にセパレータのパイロットプラントを建設していたが、このたび完成し、ユーザーにサンプル評価を依頼している。
年内には本プラント建設計画を具体化させたい意向。

 

今回の負極材への進出で、リチウムイオン二次電池の4材料のうち電解液を除く3材料に開発・事業化の見通しがついたことになる。

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リチウムイオン二次電池の仕組みは以下の通り。

リチウムイオン二次電池は、非水電解質二次電池の一種で、電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う。

現在では、正極にリチウム金属酸化物を用い、負極にグラファイト(黒鉛)などの炭素材を用いるものが主流となっている。

電解液には非水溶液系電解質を使用する。
炭酸エチレンや炭酸ジエチルなどの有機溶媒 +ヘキサフルオロリン酸リチウム (LiPF6) といったリチウム塩を使う。

三菱化学はリチウムイオン二次電池の主要4材料(電解液・負極材・正極材・セパレータ)すべてを取扱う世界唯一の企業。

2010/9/13 三菱化学、リチウムイオン二次電池用負極材の製造能力増強 

宇部興産とDow Chemicalは2011年7月6日、リチウムイオン二次電池向け電解液の製造及び販売等を行う合弁会社を設立することで合意したと発表した。

宇部興産は、リチウムイオン二次電池の主要四部材のうち、電解液とセパレーターを事業化している。

2011/7/14 宇部興産とダウ、リチウムイオン二次電池向け電解液の合弁会社設立 

 


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